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Porsche 911 Speedster試乗記 ポルシェ911スピードスターに乗った! 単なるスタイルコンシャスではなく本気のスーパーマシンだ!

  • 2019/07/15
  • GENROQ編集部
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ついにスピードスターがタイプ991に登場した。低く構えたフォルムも魅力的だがそのリヤに搭載されるのは、あのGT3譲りの510㎰/470Nmを発揮する4.0ℓNA。そして組み合わされるトランスミッションは6速MTというから、胸が高鳴る。

REPORT◉藤原よしお(FUJIWARA Yoshio)
PHOTO◉Porsche AG

※本記事は『GENROQ』2019年7月号の記事を再編集・再構成したものです。

 正直に告白すると、いくらGT3のエンジンを積むとはいえ、991型の最終モデルとして登場した新型911スピードスターも、歴代モデル同様、スタイルコンシャスの“プロムナードカー”みたいなものだろうと思っていた。

 しかし実態はまったく違っていた。“ロー・プロファイル・フライングライン”と呼ばれるリヤフードと、50㎜低いウインドスクリーンをもつ特徴なデザインのボディは、911カレラ4カブリオレをベースとしたもの。しかしながらフロントスポイラーはGT3(フロントリップは専用デザイン)から、片側で2.8㎏しかないカーボンコンポジット製のフロントフェンダーは911Rのものを流用しているほか、フロントフード、リヤフードもフルカーボンコンポジット製となっており、その単体重量はそれぞれ6㎏、10㎏と、随所に徹底した軽量設計が施されている。

 シャシーはGT3由来のもので、リヤアクスルステア、ダイナミックエンジンマウントを標準装備するほか、PTV、PSM、PASMといった電子デバイスも標準装備。またミシュラン・パイロットスポーツカップ2を履く20インチのセンターロック式鍛造アロイホイールには、お馴染みのPCCBが奢られる。

 一方エンジンも、すでにアナウンスされているとおり、GT3の4ℓフラット6NAユニットを流用しているのだが、まったく同じものではない。ディナーで同席したパワートレイン担当のマークス・ヘンデスによると、燃料噴射を最適化した250bar(従来は200bar)の高圧フューエルインジェクター、個別スロットルバルブ付きインテークシステムの採用で、従来比10㎰アップの510㎰/8400rpmを実現できたという。また2基のガソリンパティキュレートフィルターを備えることで欧州排出ガス基準EU6DGをクリアしているほか、10㎏の軽量化を果たしたステンレス製の新型エキゾーストシステムを装着するなど、スピードスター専用に細かな改良が施されている。ギヤボックスはGT3と同じ6速MTのみとなるが、これについてもマークスは、PDKよりも25㎏ほど軽いこと、また7速MTに比べても1速分軽量なうえにシフトフィールも良いなどの理由で採用したと説明してくれた。

スイッチが備わらないシンプルなステアリングを採用。オートブリッピング機能が変速時にエンジン回転数を自動補正してくれる。
スパイダー独自の装備となるリヤフードは、ロー・プロファイル・フライングラインと呼ばれる。シートはカーボン製だ。

 まさに“911Rスパイダー”、もしくは“911GT3スパイダー”と呼びたくなる内容をもつ新型911スピードスターの国際試乗会が行われたのは、地中海に浮かぶイタリア・サルデーニャ島。島中がワインディングだらけという絶好のステージではあるのだが、道幅が狭いうえに路面状態も安定せず、μも低い。
「今日はウエットだしコーナーも多いから、くれぐれも気をつけて」と念押しされスタートして、すぐに気づいたのは、とても510㎰をリヤに抱えているとは思えない扱いやすさと乗り心地の良さだった。

 エンジンは2速アイドリングからでもしっかり加速し、ヒルアシストのついたクラッチペダルは軽く、ミートもイージー。それでいて、ひとたび右足に力を込めれば淀みなくレッドゾーンの9000rpmまで吹け上がるレスポンスの良さをみせる。また6速MTのフィール、マッチングは文句なし。そのうえシフトダウン時のブリッピング機能が完璧な出来で、ヒール&トウを駆使する必要はまったくない。この機能は任意でオン、オフを選べるのだが、最後までオンのままにしていたほどだ。

 またオープンモデルで最も気になるシャシー剛性に関しては、カブリオレから特に強化していないという話だったが、300㎞あまりワインディングを走った限りでは、510㎰のパワーに対してもまったく不足はなかった。確かに様々な軽量化を施したにも関わらず、車両重量が1465㎏とPDK仕様のGT3より35㎏ほど重いことからも、元々のカブリオレのシャシーが相当余裕を持ってしっかりと造られているのは想像に難くない。あわせてスポーティなドライビングの時はハードに変化するダイナミックエンジンマウントも効いているようで、荒れた路面を飛ばしていてもシャシーが根を上げるようなことはなかった。さらにリヤアクスルステアも効果的で、タイトなコーナーでも安定した姿勢でくるりと向きを変えてくれる。その際のステアリングフィールも適度な手応えのある自然なものだ。

 カットスリックと言ってもいいミシュラン・パイロットスポーツカップ2でウエット路面を走るのは、少々気を遣う(万が一テールが流れても、素早く収束してみせる電制デバイスの出来は秀逸)が、ひとたび路面がドライになればスピードスターは無敵だ。

幌を開けるにはセンターコンソールのボタンで前後のロックを解除し、手動でリヤフードを開けて幌を格納する。

 半手動ながら簡単に開閉できるソフトトップを開くと、屋根のない開放感(風の巻き込みも最小限だ)と耳にダイレクトに入ってくるNAサウンドもあって、感覚的にはGT3よりも軽やかに感じるほど。少し腕に覚えのあるドライバーならば、高いグリップを誇るパイロットスポーツカップ2と、4ℓユニットの持てる能力を余裕を持って引き出して楽しむことができるはずだ。

 そういう意味で新しい911スピードスターは、550スパイダー譲りの4カム・ユニットを搭載したホモロゲモデルとして、サーキットで数々の栄冠を手にした356カレラGS・GTスピードスターの正統な後継車といえるかもしれない。幸運にも手に入れることのできた1948人のオーナー(既に完売だという)を、心底羨ましく思う。

SPECIFICATIONS
ポルシェ911スピードスター
■ボディサイズ:全長4562×全幅1852×全高1250㎜ ホイールベース:2457㎜
■車両重量:1465㎏
■エンジン:水平対向6気筒DOHC 総排気量:3996㏄ 最高出力:375kW(510㎰)/8400rpm 最大トルク:470Nm(67.0㎏m)/6250rpm
■トランスミッション:6速MT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ245/35ZR20(9J) Ⓡ305/30R20(12J)
■パフォーマンス 最高速度:310㎞/h 0→100㎞/h加速:4.0秒

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