【Jaguar F-PACE SVR試乗記】群雄割拠の様相を呈するSUV戦国時代 驚異の性能を誇るFペイスSVRが登場! スーパースポーツカーを駆逐するSUV?
- 2019/10/16
- GENROQ編集部
ジャガーのミドルサイズSUV、Fペイスに最強バージョンであるSVRが加わった。
5ℓのV8スーパーチャージャーは550㎰/680Nmを発揮し、2tを超えるボディを283㎞/hまで引っ張る。
激しい超速SUVウォーズに、強烈なニューカマーの登場だ。
REPORT◉永田元輔(NAGATA Gensuke)
PHOTO◉藤井元輔(FUJII Motosuke)
※本記事は『GENROQ』2019年10月号の記事を再編集・再構成したものです。
SVRといえば、Fタイプやレンジローバー・スポーツにも設定されているジャガー・ランドローバー系最速の称号だ。そのSVRがついにFペイスにも設定された。手がけるのは先に登場した2モデルと同じく、同社のチューニング部門であるSVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)だ。近年になってSUVのラインナップを急速に拡大しているジャガーだが、このSVRの登場はそのトップレンジであるFペイスの面目躍如と言ったところだろう。
エンジンはもちろん、5ℓのV8スーパーチャージャーで最高出力は550㎰、最大トルクは680Nm。これはFタイプSVRに比べるとパワーでは25㎰、トルクでは20Nm低い数字だが、そのかわりに最大トルクの発生回転数はFタイプSVRの3500rpmに対して2500rpmから5500rpmと、より実用域での力強さを重視したセッティングとなっていることがわかる。駆動はもちろんAWDで、旋回時は内輪にブレーキをかけるトルクベクタリングやアクティブディファレンシャルなど、本格スポーツカー並みのスペックが与えられている。もっとも、2tを超える重量級ボディをそれなりの速度で走らせるとなると、ハイテク装備での武装は必須ということだろう。
しかしFペイスSVRを実際に間近で見ると、その最大の魅力はパワーや速さではなくそのビジュアルではないか、と感じる。左右に大きくエアダクトが開いた専用デザインのバンパーやボンネットのエアベント、フロントフェンダーのサイドベントやリヤディフューザーに4本出しマフラー、大きなリヤスポイラーに22インチ(標準は21インチ)のホイールなど、そのルックスはスーパースポーツカー並みの迫力だ。最近はハイパフォーマンスなSUVが増えているが、その中でもこのカッコ良さは群を抜いている。とはいえ全体のラインがシンプルなので決して威圧感や派手さを強調することなく、どことなく上品である。このあたりはさすが英国車だ。
ドアを開けると、これまた上品なエボニーとライトオイスターのバケットシートが目に飛び込んでくる。形状自体はサーキットが似合いそうなほどスポーティだが、このカラーのせいかやはり見事に上品だ。エンジンをかけ、走り出すとスペックの数字から身構えると拍子抜けするほどジェントルに走り出す。もちろん力強さはひしひしと伝わってくるが、急激にパワーが出たりすることはなく、そしてアクセル開度に対するエンジンの反応とパワーの出方が非常に自然なので、むしろ初心者でも走りやすい、とさえ言えるだろう。ただし街中では2mを超える全幅はやはり少々持て余す。駐車場の料金所ゲートを通過する時などは、思わず緊張して身を固くしてしまうほどだ。
ステアリングにはSVRのエンブレムが光る。センターコンソールにはカーボンがあしらわれるなど、スポーティな雰囲気だ。
そして、想像よりも足はずっと柔らかい。むしろ重たい上屋のことを考えるともう少し引き締めても良いのでは、と感じるほどだが、おかげで乗り心地は上々だ。エンジンといいサスペンションといい、ハイパフォーマンスSUVだからと言ってことさらにスポーツ性を強調していないのは、日常使うことを考えれば好感が持てる。
だが高速道路に乗り、やや強めにアクセルを踏み込むとその印象は一変する。比類なきパワーと加速が全身を襲うのだ。車体の重さをまるで感じさせないほどの加速は、一瞬恐怖を覚えるほど。それもそのはず、0→100㎞/h加速4.3秒といえば、スーパースポーツカー並みの数字である。さっきは柔らかさを感じたサスペンションだが、ダイナミックモードを選択すれば適度に引き締まり車体をフラットに保ってくれることに気づく。それでいて乗り心地も悪くない。ハイパワーで車高が高いクルマだとどうしてもコーナーでは不安になったりするものだが、ほとんどそれを感じないのはサスペンションの設定だけでなく、トルクベクタリングやアクティブディファレンシャルの制御の恩恵だろう。
普段はあくまでもジェントルに、そしていざとなれば他を圧倒する力を見せつける。この二面性も、いかにも英国生まれらしい。まさに紳士のためのスーパーSUVである。
ジャガーFペイスSVR
■ボディサイズ:全長4737×全幅2071×全高1670㎜ ホイールベース:2874㎜ ■車両重量:2070㎏ ■エンジン:V型8気筒DOHCスーパーチャージャー 総排気量:5000㏄ 最高出力:405kW(550㎰)/7500rpm 最大トルク:680Nm(63.2㎏m)/2500~5500rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡマルチリンク ■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ:Ⓕ265/40ZR22 Ⓡ295/35ZR22 ■0→100㎞/h加速:4.3秒 ■最高速度:283㎞/h ■価格:1272万円
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
ジャガー Fペイス
R-ダイナミック SE D200
中古価格 918万円
ジャガー Fペイス
SVR キュレーテッド フォー ジャパン
中古価格 1669万円
ジャガー Fペイス
プレステージ 2Lディーゼルモデル スマートキー 全方位カメラ シートヒーター フルレザーシート...
中古価格 338万円
ジャガー Fペイス
プレステージ
中古価格 263.7万円
ジャガー Fペイス
R-ダイナミック SE D200 1オーナー/パノラマSR/純正21インチAW/茶革シート/16...
中古価格 699.8万円
ジャガー Fペイス
ベースグレード D200 LEDヘッドライト フロントシートヒーター パワーテールゲート キャビ...
中古価格 676.5万円