〈試乗記:メルセデス・ベンツCLA〉デザイン最優先だと決めつけていたら、とんだ思い違いだった
- 2019/12/13
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塚田 勝弘
現行Aクラス、Bクラスと同様に、新世代FF向けの「MFA2」プラットフォームを使って仕立てられたメルセデス・ベンツCLAに試乗した。CLAクーペとCLAシューティングブレークと同様にデザインコンシャスなモデルではあるが、日本でも扱いやすいサイズと高い実用性により、代を重ねることに大型化するCクラスの受け皿としての役割も担っている。走りはいい意味で軽やかで、非常に印象的な仕上がりだった。
REPORT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
新型プラットフォームの実力が存分に活かされている
今回のメルセデス・ベンツの新型モデル試乗会は、GクラスやGLE、GLCという具合にSUVが充実していて、クラスは違えども、重厚感ある走りを堪能できた。さらに、A35 4MATIC(Edition1)、GT 53 4MATIC+といったハイパフォーマンスモデルも用意されていた。
本稿で紹介するのは、2019年8月に発表され、10月から納車が始まったばかりのCLAクーペ(CLAシューティングブレークは12月頃から)である。
車両重量は1610kgで、私が試乗したモデルの中ではAクラスに次いで軽かった。224ps/350Nmのスペックも兄貴分たちと比べると控えめ(実際は十分にパワフル)だが、非常に心に残る仕上がりだったのだ。
ステアリングを握ったのは、「CLA 250 4MATIC」で、全長4695×全幅1830×全高1430mmというサイズ。マンションのパレット式駐車場に多い横幅1850mm制限にも対応する。
先に登場したAクラスは、グレードによりリヤサスペンションはマルチリンク、トーションビームを使い分けているが、基本的にはトーションビームだ。一方の、CLAは全車マルチリンクとしているだけでなく、先代からトレッドを拡大。フロントは欧州値で63mm、リヤは55mmもワイドになっている。
さらに、スタビライザーの径を拡大することでロール剛性も引き上げられている。こうした足まわりのアップデートよりもAクラスよりもハンドリングには安定感があり、大小多様なコーナーが続く試乗ステージでも手に汗握ることなく、非常に素直な回頭性が得られるのは、「MFA2」プラットフォームの高い実力も十分に伝わってきたのだ。
加えて、試乗車は4WDの「4MATIC」で、前後トルク配分はFF状態の「100:0」から「50:50」まで可変する。さらに、「Dynamic Select」の設定により「80:20」、「70:30」にもなるのだが、路面に濡れていたり、泥が溜まっていたりしている場所を比較的ハイスピードで通過しても安定感も高く、雪道でなくても雨の日でも「4MATIC」の存在は頼もしく感じるだろう。
非降雪地帯で街中での仕様がメインであればFF仕様でも十分に新型CLAの良さが味わえるはず。一方で、高速巡航やワインディングなどを使ったロングドライブの機会が多く、レジャーも含めてアクティブに使いたいというのであれば4MATICを選択する手もありそうだ。
CLA 250 4MATICが積む2.0L直列4気筒ガソリンターボは、アルミ合金ブロックに鋳鉄シリンダーライナーを備え、メルセデス自慢の「CONICSHAPE」と呼ばれるシリンダーウォールの加工が施されるなど、主力ガソリンエンジン。
組み合わされるトランスミッションは、2.0Lのディーゼルターボの8G-DCT (8速デュアルクラッチトランスミッション)とは異なり、7G-DCTだが、走り出しの極低速域から高速域まで変速マナーはジェントルで、振動も良く抑えられている。それでいながら、変速している感覚が希薄で物足りないという感覚もなく、ダイレクト感のあるシフトチェンジの様子が伝わってきて、スポーティな走りに間違いなく貢献している。
普通に走らせている分には、動力性能は「ちょうど良い」というフィードバックが伝わってくるが、少しアクセルを踏み込むと1610kgのボディを軽々と加速させる。ターボラグは確かに感じられるものの、224ps/5500rpm、350Nm/1800-4000rpmというエンジンスペックからも分かるように、実用域のトルク感が詰まっている感じがするから非常に頼もしい。多様なシーンに遭遇する長距離移動でもドライバーにモアパワーの欲求を抱かせるシーンはほとんどないはずだ。
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