ルノー・メガーヌR.S.トロフィーで伊豆まで贅沢なドライブを味わってみる……飛ばさなくても楽しい、ルノー・スポールのもうひとつの顔
- 2020/02/08
- ニューモデル速報
限られた時間で充実したツーリングを満喫したい……。それに応えてくれるスポットは関東ではいくつもあるが、今回は伊豆・下田まで足を伸ばして沼津で宿泊するというちょっと変わった、ある意味贅沢なプランをチョイスした。果たしてメガーヌR.S.トロフィーで巡る男3人の旅は、想像していたよりも楽しく、思い出深いものとなった。
TEXT : 木原寛明 (KIHARA Hiroaki)
PHOTO : 花村英典 (HANAMURA Hidenori)
※本稿は2020年1月発売の「ルノー・メガーヌR.S.トロフィーのすべて」に掲載されたものを転載したものです。
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「ツーリング」に込めた思い
メガーヌRSトロフィーを取材の合間に自由に乗れることになった。このまたとないチャンスに本誌恒例の「グランドツーリング」に出掛けようと思っていたのだが、翌日の午前中には沼津で取材の約束があり、出発時刻も諸事情により決まっているため、「ツーリング」に許された時間はあまりなかった。一瞬、高速道路を北か西へとひたすら走り1000キロを走破して戻ってくるプランが頭をよぎったが、12月初旬のこと、降雪や路面凍結の心配もあった。それに高速道路だけを走っていたら、RSトロフィーのすべてを知ることはできないと思った。そこで考えたのが、「もしこのRSトロフィーが自分のクルマだとしたら、納車後、まず最初に行きたい場所、走りたい道はどこか?」だった。そしてその答えはすぐに出た。数多くのワインディングロードがある走りの聖地であり、道中の景色の良さも魅力の「伊豆」である。ちょうど翌日は沼津で取材があるから、最終目的地は沼津のビジネスホテルに設定することにした。
ハイオクガソリンを満タンにして、洗車を済ませてから自宅を出発。助手席に乗る編集仲間のS君と、同じ横浜市内に住むHカメラマンを迎えに行く。心地良いエキゾーストノートとともに目覚めたRSトロフィーで一般道と第三京浜道路を走る。乗り心地は先日乗ったメガーヌ・ルノー・スポールと比べて明らかに固い印象。スプリングレートをフロント23%、リヤ35%、ダンパーレートを25%高め、さらにフロントアンチロールバーの剛性も7%高めた「シャシー・カップ」を採用しているからだが、ルノー・スポール同様に、ダンパー底部に組み込んだセカンダリーダンパーによって最適な減衰力が得られる「4輪HCC」を組み込んでいるため、荒れた路面でも、いわゆるダンパーの底付き感がなく、路面の凸凹で進路を乱されるようなことがほとんどない。これはメガーヌRSのような高性能車にとってツーリング時の大きなメリットになると思った。
Hカメラマン宅に着き、簡単な挨拶の次に待っていたのは撮影機材の積み込みだ。仕事用の相棒としてトヨタ・クラウンに乗っているHカメラマンがRSトロフィーのラゲッジスペースに手際よく機材を積み込んでいく。余談だが、プロカメラマンの多くは機材の運搬や積み卸しを第三者に手伝わせない。仕事道具がいかに大切なものかを先輩からたたき込まれているのだろう。手際よく三脚や脚立、ストロボ、カメラバッグを運び入れたあと、3人分のお泊まりバッグや取材用の鞄などを放り込んだ。「意外と荷室大きいですね」と編集仲間のS君は驚いた様子だった。
さあ出発だ。時計の針は午前10時を回っている。効率よくドライブしないとホテル入りも遅くなるし、途中何カ所か立ち寄りたいスポットに行けなくなってしまう。本来なら事前にカーナビゲーションに目的地と立ち寄り地をセットしているはずだが、じつはお借りした車両にはオプションのカーナビゲーションが付いておらず、紙の地図を持ってきていた。相棒は硬派なRSトロフィーなわけだし、それも風情があっていいやと思っていたのだが、助手席のS君がそそくさとスマホをUSB端子に繋ぎ、何やらやり始めた。スマホの中のカーナビをトロフィーの7インチタッチスクリーンで使えるミラーリングという機能が使えるのだという。これはしてやられた。さらにS君(身長175㎝)はリヤシートのHカメラマンに気を遣い、「足元、狭くないですか?」と訊く心遣いもみせる。すぐさま「全然大丈夫ですよ」と返ってきた。
とりあえず最初の目的地を「真鶴」にセットして東名高速道路の横浜青葉インターに向かった。そうして厚木インターから小田原厚木道路を通り、真鶴から伊豆半島を時計回りで進もうという作戦だった。真鶴に何があるのかはわからないのだが、そこで海でも眺めて一休みしようじゃないかと考えていた。車内で次に言葉を発したのは運転席の僕。Hカメラマンに「リヤシートの乗り心地、大丈夫ですか?」と訪ねていた。そして返ってきたのはこんな言葉。「たしかに今時のクルマとしては硬めの乗り心地ですけど、不快になるような硬さじゃありません。むしろ、気持ちよくて眠くなってきますよ」。Hカメラマンはほとんど徹夜でレタッチの作業をしていたようだ。
真鶴では港に立ち寄り、一息つかせてもらった。あわよくばその辺りで海鮮料理を食べようかとも考えたのだが、先はまだ長い。そう、僕にはどうしても行きたい場所があった。それには後ほど触れたい。さて、次に目指したのは「熱海」である。熱海は交通の要衝ということもあるし、海岸沿いの有料道路「熱海ビーチライン」から見える景色が好きということもある。そして僕にとって熱海はちょっとした思い出の場所でもある。甘酸っぱい思い出の詳細は同乗のふたりには話していないけれど。
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