トヨタ・グランエース 「最高のおもてなし」を目指した国産フルサイズ豪華ワゴンの走りは、ビッグサイズの小回り性は? VIP送迎車としての資質をチェック
- 2020/04/04
- ニューモデル速報
ボディの重さを感じさせず思いのほか軽快に走る

グランエースのパワーユニットは1GD-FTV型2.8ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボのみ。130kW(177㎰)/3400rpmと450Nm(46.1㎏m)/1600〜2400rpmを発生するこのエンジンは、従来のKD型を引き継ぐ形で15年に登場したトヨタの最新のクリーンディーゼルであり、ハイラックスサーフやランドクルーザー・プラド、ハイエースなどでもお馴染みのユニットだ。酸化触媒にDPR(ディーゼル・パティキュレート・アクティブ・リダクション)触媒、尿素水を噴射するSCR触媒(トヨタのディーゼルエンジンとしては初採用)を直列配置し、NOxをはじめとした排出物を低減。ユーロ6やポスト新長期規制に適応させている。排気量もKD系よりダウンサイジングしながら、出力/トルクを向上させた。これに6速のステップドATを組み合わせる。
とはいえ、車重は「プレミアム」で2740㎏、8人乗りの「G」では2770㎏に達するせいで、いささかその走りっぷりを心配していたのだが、それはまったく杞憂だった。重量級のモデルをスムーズに動かすために大切なのは、ピークパワーよりも余裕あるトルクが瞬時に立ち上がることだが、さすがはクロスカントリービークルや商用車などの重量級を手掛けてきたトヨタ車体だけに、スムーズなピックアップに加えて6速ATとの相性も文句なし。思った以上に身軽に動き出し、気持ち良くスピードが乗っていく。しかも静かである。ドライバーシートからはディーゼル音は聞こえるが、決してうるさいレベルではなく、2列目のキャプテンシートに座ればまったく聞こえない。パワートレーンが遠いセミボンネット型の上に、エンジンルームとキャビンを隔てるダッシュパネルには制振材を間に挟み込んだサンドイッチ鋼板を採用、さらにホイールハウスやフロアなどにも、吸音材・遮音材をふんだんに奢り、サイドのスライドドアガラスハッチには合わせガラスを採用するなど徹底的に対策した効果だろう。
また乗り心地の点でも特等席はやはりセカンドあるいはサードシートである。VIP送迎車ではあるが、やたらとフワフワした類の乗り心地ではなく、がっちりフラットで頼もしいタイプだ。フロントサスペンションはマクファーソンストラット式、リヤはトレーリング付のコイルスプリングによるリジッドアクスルだが、入念に対策されているようで商用車のようにラフに撥ねることもなく、むしろアルファード/ヴェルファイアよりもフラットで乗り心地がいいと感じられたぐらいだ。ただし、路面が荒れた個所ではドライバーズシートのフロアにブルブルという振動が伝わることもあったが、それも優先順位をきちんと守っているということかもしれない。
試乗した日はたまたま風が強く、高速道路上ではふらつくトラックも見掛けたほどだったが、グランエースは満足できる安定性を備えていた。ハンドリングも当然ながら国内向け現行ハイエースとは段違いである。ひとつだけ気になったのは、トヨタ・セーフティ・センスに含まれるいわゆるレーンキープアシストの制御具合である。電動パワーステアリングではないのでステアリング操作を支援する機能はなく、正しくは「レーンデパーチャーアラート」で「ヨーアシスト機能付」というもの。白線を踏みそうになると反対側の車輪にブレーキを掛けることによって車線内に車を引き戻す制御が備わっているのだが、これがいささか煩わしい。首都高速など、コーナー区間で速度を抑制するために二重に白線を引いて車線が狭くなっている場所などでは、頻繫にブレーキが作動するのだ。ワイドなボディゆえ安全性を考慮してのことだろうが、ヨーアシスト機能だけをオフにできるスイッチがあればそんな場面でもより扱いやすいのでは、と感じられた。
見た目は豪華で、乗っても快適、その上グランエースには働くクルマを長年つくってきた経験が生かされた逞しさも備わっている。個人で買ってモディファイする人がどのぐらいいるか分からないが、その逞しさと頼もしさゆえに大きなサイズのキャンパーに改造するベース車両としてはなおさら魅力的に映るのだ。



モーターファン別冊・ニューモデル速報 ニューモデル速報 Vol.594 トヨタ グランエースのすべて
エグゼクティブパワーシート×四脚装備。VIPの送迎にも対応。
ドライビングインプレッション
ライバル車比較試乗
開発ストーリー
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使い勝手徹底チェック
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