燃料タンクが小さく高負荷時の燃費悪化が大きいため航続距離は短め ダイハツ・ロッキー500km試乗インプレ…良くも悪くも新型タントの相似形。細かな不満はあるものの長時間ドライブ後の疲労は望外に少ない【売れ筋国産SUV長距離実力テスト】
- 2020/04/12
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遠藤正賢
果たして、実際の走りはどうだったか。まずハンドリングと乗り心地に関しては、簡潔に言えば良くも悪くもタントに近い感触だった。
ロッキーはタントよりも600mm長く220mm広く155mm低く(4WD車)、ホイールベースは65mm長いのだが、こうした寸法上の有利も手伝い、タントでも感じられた操縦安定性の高さにより一層磨きがかかっている。そのため銚子港近隣にあるアップダウンの激しいワインディングでも、軽快かつ安定感のあるハンドリングを楽しめた。
だがタントと大きく異なり、荒れた路面や高速域でも静粛性が高いのはロッキーならでは。今回のルートは千葉市内から銚子港、九十九里浜にかけての一般道が150km・5時間以上に及び、その間ほぼ全行程で荒れた路面と強風・豪雨に見舞われたが、それでもノイズに体力を奪われずに済んだのは、今回のように長距離長時間になるほどプラスに作用しているに違いない。
そして残念ながら、そんな1KR-VETの加速フィールは、トール発売から丸三年を経てもなお、全く改善されていなかった。アクセルペダルを踏み始めてすぐにスロットルを大きく開くうえ燃料を多く噴くセッティングが与えられているらしく、またターボラグが大きいため、特に発進時にスムーズに加速するのが容易ではない。必然的に低速域ではギクシャクしやすく、また燃費の落ち込みも激しいため、ストップ&ゴーの多い都心部では「PWR」モードよりもむしろ「ECO」モードが欲しい、というのが偽らざる本音だ。
一方でD-CVTは、高速域でアクセルオフから再加速した瞬間に強いショックを伴う、タントで見られた症状が解消されている。ここに関しては一歩、新技術の熟成が進んだと見てよいだろう。
このように、個々の要素を見ていくと手放しで絶賛できるポイントは少ないのだが、500kmを走り切った後の疲労感は思いの外少なかった。それは恐らく、満足できなかったシートサイズや乗り心地、エンジンのマナー、ADASの制御といった点が、致命的に疲労を蓄積させるレベルで悪くはない、ということなのだろう。逆に好印象だった車両感覚の掴みやすさや静粛性、ハンドリングは、少しでも出来が悪ければ速度域や走行環境を問わず多大なストレスに直結する。
今回のテスト車はスタッドレスタイヤを装着していたため、これが新車装着のサマータイヤになった場合、少なからず評価が変わる可能性は捨てきれないが、このダイハツ・ロッキー、室内と荷室の広さを含め、長距離長時間のドライブとアウトドアレジャーに適した高い実力の持ち主であることは間違いない。
…が、全行程の平均燃費は16.2km/Lと、まずまずの水準だったにもかかわらず、道中で燃料警告灯が点灯し、1回余分に給油を余儀なくされたのはいただけない。燃料タンク容量が36Lと小さく、満タンから空になるまで走ったとしても航続距離が583.2kmというのは、長距離長時間を走るSUVとしては物足りない。走り方次第で燃費が大きく落ち込む傾向にあるだけに、遅くともマイナーチェンジの際に燃料タンクが増量されることを切に願う。
■ダイハツ・ロッキーG 4WD
全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm
ホイールベース:2525mm
車両重量:1050kg
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:996cc
最高出力:72kW(98ps)/6000rpm
最大トルク:140Nm/2400-4000rpm
トランスミッション:CVT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:195/60R17
乗車定員:5名
WLTCモード燃費:17.4km/L
市街地モード燃費:13.3km/L
郊外モード燃費:18.8km/L
高速道路モード燃費:19.0km/L
車両価格:222万4200円
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