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デザイン考:ダイハツ・ロッキーに思う巧妙さとダイハツならでは戦略 ダイハツ・ロッキー 強さと安心、SUVの持つ本来の性能を素直な形に

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想定されるのはアクティブなユーザーもその一つ。求められるキーワードは、他のBセグメントSUVよりも安心、堅牢方向に振った印象だ。

ダイハツが軽自動車より上のクラス、いわゆる登録車と呼ばれる車たちへの注力を明確に表明したのは、2017年の東京モーターショーのことだった。そしてまさに登録車となるロッキーは、トヨタブランドとシェアする中で独自の方向性を表現。今回はライズ、ロッキーという兄弟車なのだが、ロッキー視点でデザインに注目してみよう。

たった一つの要素の変更だけでの見事な作り分け

上がダイハツ・ロッキーで下がトヨタ・ライズ。両車は兄弟車となる。フロントグリルを含むバンパーのみの変更で、トヨタとダイハツを作り分けている。ライズも堂々とした印象ながら、明確なトヨタファミリーの顔を持つ。
 それにしてもうまいのは、バンパーひとつを変えるだけで、ダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズを作り分けてしまっていることだ。リヤ周りは、それこそメーカーのバッジの違いだけで、デザインはまったく一緒という割り切り具合。
 さらには、ルーフやピラーの色分けを容易にする工夫など、ユーザーには関係ないところではあるがなるほどと思える合理化も図られているなど、興味深いモデルでもある。
 初代ロッキーの誕生は1990年。ラダーフレームを持つ1.6ℓのSUVで、パートタイム4WD(フルタイム4WDも存在したが…)をベースとしていた。当時タフトが大型化する中にあって、手軽に扱えるクロカン4駆として登場。スタイルはジープやランドクルーザー、ジムニーに並ぶ、堅牢さを湛えたものだった。

初代ロッキーの世界観を加味した手軽なSUV

こちらは標準仕様で、ルーフがブラックアウト化されない。しかしフロントとサイドのピラーが黒くされるいわゆるヒドゥンピラー(Hidden=隠された)とされている。
ロッキーのリヤビュー。センターのDマークがライズではトヨタマークになる。四角いボディにも関わらず躍動感があるのがデザインの腕の見せ所。

 今回のロッキーの再登場の中で、この初代ロッキーの幻影がなかったとはいえないだろう。新型ロッキーを形作るキーポイントが、全長わずか4m未満のいわゆるBセグメントとなる小さなボディながら、堂々たる佇まいを持っていることだ。ここに先代ロッキーの面影を感じられる気がする。
 「気がする」と微妙な表現をしたのは、ダイハツとしても先代ロッキーのカテゴリーへの参入を目指したわけではないということ。現在盛り上がりつつあるコンパクトSUVの中で、どのような立ち位置にあるべきかを考えたときに、初代ロッキーの世界観がシンクロしたといえる。

力強さはボンネットの高さやグリルの大きさからも感じられる。かつてレンジローバー・イヴォークが登場した時もルーフは低いのだが、グリルを低くしないことで小さなモデルであるにもかかわらずSUVの中での存在感を示した。
 新型のデザインから感じられるのは、「頼れる」「安心」「力強い」ということ。このところBセグメントやCセグメントのSUVが求めているのは、「軽快」や「スタイリッシュ」といったイメージ。SUVなのに扱いやすかったり、気軽に使えそうというイメージだ。
 今ある、王道イメージをあえて外してきたのが、新型ロッキーだ。そこには他のメーカーとは異なる事情もあるだろう。Bセグメントを「小さな」と表現したが、一般的には小さいとしてもダイハツにとっては大きな車になる。その捉え方自体が異なることから、登録車に対する価値観がトヨタや日産などのメーカーとは大きく違うのだ。
 ある意味、トヨタとの価値感の違いをバンパーひとつで見事に作り分けたともいえる。しかしその見事さは、デザインの巧妙さからも生まれたものだ。
 堂々とした存在感を表現するには、ボンネット先端を不当に低くしないことで、強さも表現。水系基調のサイドビューは安定感を強調するが、面白いのがルーフを後継させることを起点として、動感を表現している。止まっていても、走っているように見えるのだ。
 5ナンバーに収まる1.7m未満の全幅ながら、ホイールアーチの豊かさも特徴で、どっしりとした力感を得ている。

ルーフを見ると後傾している形がわかる。空力的意味合いも大きいが、スタイリング的には止まっていても走っているように見える効果もある。また、ルーフをブラックアウトする独特なCピラーのカットラインが、前傾姿勢を印象付けるのも面白い。

信頼性抜群ながら決して退屈ではない形

ピラーの前から1本目(Aピラー)と2本目(Bピラー)を黒くすることで、フロントをぐるりと回る大きなウインドウの印象を与えている。ピラーは車にとって強さの象徴にもなるものだが、隠すことによって全体の「重さ」や「強さ」をマイルドな感じにしている。また、3本目のピラーの上の方に薄いラインがわかるだろうか。ここがツートーンにする場合の塗り分けポイントだ。
 堅牢さに偏ることなくスタイリッシュさとのバランスをとっているのが新型ロッキーの特徴。それは細部にも現れ、フロントピラーをブラックアウト(黒く塗る)して、存在の強さをちょっと弱めている。このブラックアウトも巧妙で、黒い部分にボディ側でわずかな凹みのラインが入っており、製造時にも作業がしやすいようだ。前2本もそうだが、Cピラーと呼ばれる前から3本目のピラーを見れば上方に前傾のラインが入れられている。
 このリヤスポイラーからのラインより上を黒くすることでルーフの存在感を薄め、前傾のCピラーの印象が強くなる。わずかなことだが、これだけのことで後傾の基本フォルムからまったく印象を変えてしまうことに成功している。

 そして、このロッキーのデザインのおそらく最大の見せ場は、リヤフェンダー周りの造形だと思う。注目はCピラーの付け根。サイドウインドウの下にわずかなのだが、膨らみ(=ショルダー面)らしき面が構成されるが、その面が後方のCピラーの下あたりで広めの面となっている。
 ここは非常に意図的なもので、上から見るとリヤドアのウインドウを後方に絞り込みながら、Cピラー以降ではほぼ絞らない面としている。つまりここで絞ることによって、下半身とウインドウ部分を分けて見せている。

上)Cピラーの付け根部分に注目。わずかだが前からのショルダーの流れとのつながり。ここがさらに広く後ろに流れることで、ハコ型にはない軽快さを表現。左)ライズのカタログ写真より。サイドウインドウの面を見ていくと、リヤドアで内側に絞られているのがわかる。ここでショルダーの面を広げることができている。

 ここを絞り込むことと、リヤドアのウインドウをキックアップすること、その流れから荷室周りを重く見せずに軽快なテイストが加味されている。
 信頼性の高い、力強い印象ながら決して退屈に見せないのは、こうしたスポーティや軽快な要素をエッセンスとしてバランスさせているためだろう。
 Bセグメントも、ダイハツにとっては上級車。その意識が、これからのダイハツの登録車戦略の大きな鍵であり、また強みでもあると思う。

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