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Bセグメントのハイブリッドカーとは思えない内外装と走りの質感も大きな魅力 新型トヨタ・ヤリスハイブリッドZ 一般道100km&高速180km試乗…16インチタイヤでも驚異の実用燃費30km/L超! 一見狭そうな室内も快適設計に劇的進化

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新型トヨタ・ヤリスハイブリッドZ

 さて、実際に走ってみるとどうか。まず駐車場を出る瞬間に気付かされたのは重心の低さ、そしてボディ・シャシー剛性の高さだ。その後ゆっくりと市街地を走ってみると、サスペンションのフリクションが少なく、路面の細かな凹凸をしなやかにいなしてくれるため、突き上げも意図せぬ視線の移動も少ない。

 さらに静粛性が極めて高く、良路から粗粒路に移行した際もロードノイズやフロアの振動が急激に増えることはないため、いたって快適だ。そして、三代目ヴィッツの16インチタイヤ装着車は最小回転半径が5.6mと、15インチ車の4.8mに対して急激に悪化していたが、新型ヤリスは16インチ車で5.1mと、15インチ車の4.8mに対し悪化の幅は抑えられているため、小回り性能は劇的に改善された。

新開発のM15A-FXE型1.5L直列3気筒エンジン+1NM型モーターを搭載するエンジンルーム。エンジンのボア×ストロークは80.5×97.6mm、圧縮比は14.0:1
 また、廉価グレードの「ハイブリッドX」FF車ではWLTCモード燃費36.0km/L(市街地37.5km/L、郊外40.2km/L、高速道路33.4km/L)という驚異的な数値を記録している、新開発の1.5Lハイブリッドシステムが、官能性や操りやすさを無視した低燃費スペシャルになっているかと言えばさにあらず。

 走行モードをエコドライブモードに設定していても、モーターならではの発進直後からのシームレスで力強いトルクを感じさせるのみならず、エンジンが始動してもハイブリッドカーにありがちな失速感と急激に増える振動はほとんど感じられない。

 これはM15A-FXE型1.5L直列3気筒エンジンと、トランスアクスル・PCU・リチウムイオンバッテリーで構成されるハイブリッドユニット双方の、損失低減・効率アップ・トルク向上の賜物なのだが、おかげでモーター走行領域を維持しやすく、エンジン始動後も速度のコントロールが容易なため、少なくとも街乗りの領域で加速時にストレスを感じることは皆無だ。

トヨタ新型ヤリス、WLTCで36.0km/ℓという驚異的な燃費性能を支える新開発1.5ℓ直3エンジンM15A型

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32.9km/Lをマークした瞬間のメーターパネル。小さな表示面積の中に多くの情報を詰め込んでいるが視認性は良好
 だから、特にエコランを意識せずとも、むしろ意図的にアクセルを激しくオンオフするか、エンジンの高回転域を多用するような走り方をしない限りは、容易に低燃費を叩き出すことができる。

テスト車両は185/55R16 83Vのブリヂストン・エコピアEP150を装着
 今回は日本武道館から成田空港までの約100kmを、高速道路を使わずに移動。外気温が30℃に達する暑さの中を常時エアコン23℃で走行したが、それでも32.9km/Lをマークすることができた。テスト車両はオプションの185/55R16タイヤを装着していたにも関わらず、である。

フロントサスペンションはマクファーソンストラット式
FF車のリヤサスペンションはトーションビーム式。4WD車はダブルウィッシュボーン式となる

 では電動車、またコンパクトカーの多くが苦手としている高速道路はどうか。成田空港から横浜市内に向けて、東関東自動車道や首都高速道路湾岸線といった、流れの速い道を中心に走行したが、燃費の落ち込みは思いの外少なく、約100kmを走行した時点で27.5km/Lを記録した。

 また、大きな凹凸でこそ突き上げを体感しやすいものの尖った感触はなく、決して不快ではない。そして速度域が上がってもロードノイズや風切り音は少なく、直進安定性も高いため、街乗りと同じく快適に過ごすことができた。

ステアリング右側に設けられているADASの操作スイッチ
 最後に、大幅に機能充実が図られた「トヨタセーフティセンス」などADASについても言及したい。高速道路では「レーダークルーズコントロール」(以下ACC)と「レーントレーシングアシスト(LTA)」を中心に試したが、車間距離こそ若干多めに取るものの割り込みを誘発するほどではなく、加減速の制御はごく自然。LTAの操舵制御も滑らかで、車線内の左右を行ったり来たりすることはなく、それでいながら制御が入っていることをドライバーに適度に体感させる仕上がりになっていた。

アドバンストパークスイッチを押すとディスプレイ上に駐車可能な場所が表示される。この中から任意の場所を選択すると駐車アシストが開始される
ブレーキペダルから足を離すと、駐車しやすい位置・向きへ移動するため前進を開始する
理想的な位置・向きになると一旦停車し、ブレーキペダルを踏んでシフトレバーをRレンジに入れるよう促してくる
シフトレバーをRレンジに入れてブレーキペダルから足を離すと後退開始。この間の加減速・操舵も自動で行われる
駐車位置まで到達すると、ブレーキペダルを踏んでシフトレバーをPレンジに入れるよう促され、駐車支援が終了する
アドバンストパークスイッチで駐車した直後の状態。若干白線を踏んでいるもののほぼ完璧な位置に駐車している

シフトレバー右手前にあるアドバンストパークスイッチ、ドライブモード切り替えスイッチ、EVモードスイッチ
 そして、トヨタ初の高度駐車支援システム「トヨタチームメイトアドバンストパーク」を実際に使ってみると、これがまた非常に快適。駐車の流れは上の写真の通りだが、シフト操作とその際に伴うブレーキペダル操作以外は加減速・操舵とも自動で行い、ほぼ完璧に駐車してくれるため、車庫入れが苦手な人は積極的に使うべきだろう。…ただし、これに頼ってばかりいると、車庫入れがいつまでも上達せず、他のクルマに乗れなくなってしまいそうだが。

 その後も横浜市内から日本武道館まで高速道路を中心に走行し、総計約280kmを走行したが、給油量はわずか9L。トータルの燃費は30.6km/Lという、これまた驚異的な数値を記録した。夏場で高速道路の比率も高い不利な状況ながら、WLTCモード燃費32.6km/Lとの差も少ないのには、ただただ驚くより他にない。

新型四代目ホンダ・フィット
 そうなった時に気になるのは、期せずして発売時期が重なった、新型四代目ホンダ・フィットハイブリッドとの違いだ。あちらは初代より継続採用するセンタータンクレイアウトを核として、後席居住性と積載能力を圧倒的な強みとしている。また内外装や走りの質感、快適性はヤリスと同じく大幅に進化しているのだが、フィットはヤリスより約100kg重く、16インチタイヤを装着するFF車のWLTCモード燃費は27.2km/Lに留まる。一方で価格はフィットの方が若干安いように見受けられる。

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 ヤリスハイブリッドの燃料タンク容量は36Lで、フィットハイブリッドは40L。WLTCモード燃費の通りに走れた場合の航続距離は、前者が1173.6km、後者が1088kmということになる。果たしてフィットハイブリッドの実際の燃費はどうか、それは機会を得て可能な限り同条件で試してみたいが、ともあれフィットほどの後席居住性と積載能力を求めないのであれば、このヤリスハイブリッドを選んでも後悔することはないだろう。

■トヨタ・ヤリスハイブリッドZ(FF)*16インチ仕様
全長×全幅×全高:3940×1695×1500mm
ホイールベース:2550mm
車両重量:1100kg
エンジン形式:直列3気筒DOHC
総排気量:1490cc
エンジン最高出力:67kW(91ps)/5500rpm
エンジン最大トルク:120Nm/3800-4800rpm
モーター最高出力:59kW(80ps)
モーター最大トルク:141Nm
トランスミッション:--
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:185/55R16
乗車定員:5名
WLTCモード燃費:32.6km/L
市街地モード燃費:32.7km/L
郊外モード燃費:35.3km/L
高速道路モード燃費:30.8km/L
車両価格:229万5000円+8万2500円

新型トヨタ・ヤリスハイブリッドZ

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