六代目BMW3シリーズ:超高性能モデル「M3」も先代の4.0ℓ V8 NAから3.0ℓ直6ターボにダウンサイジング 【コスパ抜群! 一世代前の狙い目モデル】六代目BMW3シリーズ(F30/F31/F34/F80)…先代の技術・コンセプトを熟成させつつダウンサイジングターボやクリーンディーゼル、電動車を積極投入
- 2020/09/11
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遠藤正賢
中古車は世代が古く低年式なモデルほどお買い得かと言えばさにあらず。生産終了から年月が経つにつれ残存台数が減り、希少価値が上がることで相場が高騰することは珍しくない。
また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりもひとつ前のモデルだ。
今回は、2012年1月に日本へ導入されたBMWのDセグメントFR高級スポーツセダン「3シリーズ」の六代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●BMW
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【2012年1月30日発表】フルモデルチェンジ
【2012年1月30日発表】追加モデル
【2012年7月25日発表】追加モデル
【2012年7月25日発表】追加モデル
【2012年8月22日発表】追加モデル
【2012年9月3日発表】追加モデル
【2012年9月5日発表】追加モデル
【2012年12月20日発表】追加モデル
【2013年4月18日発表】追加モデル
【2013年6月4日発表】追加モデル
【2013年8月23日発表】一部改良
【2014年2月19日発表】追加モデル
【2014年5月13日発表】追加モデル
【2014年8月28日発表】一部改良
【2014年10月7日発表】追加モデル
【2015年8月20日発表】マイナーチェンジ
【2016年1月26日発表】追加モデル
【2016年4月18日発表】一部改良
【2016年5月19日発表】一部改良
【2016年9月26日発表】マイナーチェンジ
【2016年9月26日発表】追加モデル
【2017年5月10日発表】追加モデル
【2017年5月9日発表】マイナーチェンジ
【2017年8月28日発表】一部改良
BMWを象徴する存在として自他共に認められている3シリーズの初代(E21)は、「マルニ」の愛称で有名な「02シリーズ」の後継モデルとして、1975年に誕生した。1982年にデビューした二代目(E30)は当時のバブル経済の影響もあって日本でも「六本木のカローラ」と呼ばれるほどの大ヒットとなった。また、モータースポーツ直系の超高性能モデル「M3」のほか、カブリオレや4WD車が設定されるようになったのも、このE30からだ。
三代目(E36)は1990年にデビュー。リヤサスペンションがセミトレーリングアームからマルチリンクに変更され、走りのポテンシャルが大幅に引き上げられる一方、クーペとカブリオレを除き5ナンバーサイズが維持されたのも大きなトピック。この世代よりステーションワゴンの「ツーリング」がラインアップに加わり、E30をベースにした3ドアハッチバック「コンパクト」も設定された。
1998年デビューの四代目(E46)は全ボディタイプとも全幅が1740mm前後となり、日本でも全車3ナンバーとなっているが、内外装はデザインが大幅にモダナイズされるとともに質感もアップした。
2005年のジュネーブモーターショーで世界初公開された五代目(E90)では、ランフラットタイヤやアクティブステアリング(可変ギヤレシオステアリング)といった新技術が積極的に採用されたこともあり、それまでのスローながら扱いやすくリニアな走りから、俊敏さを強調した現代的なテイストに大きく変化した。
また、当時チーフデザイナーだったクリス・バングル氏がBMW全体で主導した前衛的なデザインテイストはこのE90にも適用され(デザインを担当したのは永島穣司氏)、それとともにボディサイズがさらに拡大。全幅は1815mmに達したものの、2008年10月のマイナーチェンジで右ハンドル車のドアハンドルが日本仕様専用設計となり、機械式駐車場にも入庫しやすい1800mmに抑えられている。
そして今回紹介する六代目3シリーズ(F30(セダン))は、2011年10月に欧州仕様が、日本仕様はそのわずか3ヵ月後の2012年1月に発表された。
その中身はE90をややコンサバティブな方向に軌道修正しつつも継承・熟成したものだが、パワートレーンに関しては新開発のダウンサイジングターボエンジンと8速ATが全面的に導入されたのが最大のトピック。
従来は他社がV6へと移行しても「シルキーシックス」と形容されるBMWならではの直列6気筒エンジンを堅持していたが、この六代目以降は2.0ℓ直列4気筒直噴ターボがラインアップの中心に据えられ、直6は高価な高性能グレード向けとなった。
なお、この六代目も、専用設計のドアハンドルが採用されたことで、日本仕様の全幅は1800mmに留められている。また、この六代目より、クーペとカブリオレが独立し、「4シリーズ」として展開されることになった。
では、そんな六代目3シリーズがどのように進化していったのか、モデル変遷の概要を以下に記す(価格はいずれも発表時点のもの(当時の税率における消費税込み))。
【2012年1月30日発表】フルモデルチェンジ
245ps&350Nm仕様の2.0ℓ直4ガソリンターボエンジンを搭載する「328i」(セダン)を設定。トリムレベルは標準仕様(570万円)のほか、「スポーツ」、「モダン」、「ラグジュアリー」(いずれも586万円)の3種類で構成される「デザイン・ライン」が導入された。全車8速ATを搭載し、駆動方式はFRのみ。
【2012年1月30日発表】追加モデル
184ps&270Nm仕様の2.0ℓ直4ガソリンターボエンジンを搭載する「320i」(セダン)を追加。トランスミッションは8速ATのほか6速MTも設定する。標準仕様は6速MTが439万円、8速ATが450万円。「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」はいずれも6速MTが459万円、8速ATが470万円。
【2012年7月25日発表】追加モデル
306ps&400Nmの3.0ℓ直6ガソリンターボエンジン、8速ATに内蔵される55ps&210Nmのモーター、675Whのリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、システム出力340ps・同トルク450Nmを実現した「アクティブハイブリッド3」を追加した。EV走行時の最高速度は80km/h、航続距離は4km。
標準仕様(699万円)、「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」(いずれも719万円)のほか、BMW M社が手掛けたスポーティな装いを持つ「Mスポーツ」(745万円)も設定した。
【2012年7月25日発表】追加モデル
「320i」に、電子制御式多板クラッチを採用したフルタイム4WDシステム「xDrive」を搭載する「320i xDrive」を追加した。トランスミッションは8速ATのみ、価格は標準仕様が480万円、「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」がいずれも500万円、「Mスポーツ」が524万円。
【2012年8月22日発表】追加モデル
184ps&380Nmを発する2.0ℓ直4直噴ディーゼルターボエンジンを搭載した「320dブルーパフォーマンス」を追加。トランスミッションは8速ATのみ、価格は標準仕様が470万円、「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」がいずれも490万円、「Mスポーツ」が514万円。
【2012年9月3日発表】追加モデル
「320i」と「328i」に「Mスポーツ」を追加した。「320i Mスポーツ」は6速MTが483万円、8速ATが494万円。「328i Mスポーツ」は611万円。
【2012年9月5日発表】追加モデル
ワゴンボディの「ツーリング」(F31)を追加。後席使用時の荷室容量は先代より35ℓ拡大し495ℓとなった。後席格納時の荷室容量は1500ℓ。
また、テールゲート全体を開けずに小さな荷物の出し入れが可能な独立開閉式リヤウィンドウや、ラゲージパーティションネット、フロア下の収納スペースも備えている。
グレードは184ps&380Nmの2.0ℓ直4直噴ディーゼルターボを搭載する「320dブルーパフォーマンスツーリング」と、245ps&350Nm仕様の2.0ℓ直4直噴ガソリンターボを搭載する「328iツーリング」の二種類で、それぞれに標準仕様(320d:491万円/328i:591万円)のほか「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」(320d:511万円/328i:607万円)「Mスポーツ」(320d:535万円/328i:632万円)を設定する。トランスミッションは8速AT、駆動方式はFRのみ。
【2012年12月20日発表】追加モデル
184ps&270Nm仕様の2.0ℓ直4ガソリンターボエンジンを搭載する「320iツーリング」を追加した。トランスミッションは8速ATのみ。標準仕様は471万円、「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」が491万円、「Mスポーツ」が515万円。
【2013年4月18日発表】追加モデル
「320iツーリング」の4WD車「320iツーリングxDrive」および、306ps&400Nmを発する3.0ℓ直6ガソリンターボエンジンを搭載する「335iツーリング」を追加した。
それぞれに標準仕様(320i-x:501万円/335i:714万円)のほか「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」(320i-x:521万円/335i:730万円)「Mスポーツ」(320i-x:545万円/328i:755万円)を設定する。トランスミッションは8速ATのみ。
【2013年6月4日発表】追加モデル
5ドアハッチバックセダンの「グランツーリスモ」(F34)を追加。ツーリングに対し全長が20cm、ホイールベースが11cm、全高が5cm拡大され、フロントシートはヒップポイントが約6cm高く、リヤシートはレッグスペースが約7cm広くなっている。後席使用時の荷室容量は520ℓと、後席格納時の荷室容量は1600ℓ。
グレードは「320iグランツーリスモ」「328iグランツーリスモ」「335iグランツーリスモ」の3種類で、トリムレベルは標準仕様に「スポーツ」「モダン」「ラグジュアリー」、「Mスポーツ」の5種類。トランスミッションは8速AT、駆動方式はFRのみ。
価格は「320iグランツーリスモ」が494万円/514万円/543万円(標準仕様/スポーツ・モダン・ラグジュアリー/Mスポーツ)、「328i」が599万円/619万円/648万円、「335i」が730万円/750万円/776万円。
【2013年8月23日発表】一部改良
「前車接近警告機能」、歩行者検知機能付き「衝突回避・被害軽減ブレーキ」、「レーン・ディパーチャー・ウォーニング」を含む「ドライビング・アシスト」、「クルーズ・コントロール」に加え、緊急時自動対応サービス「BMW SOSコール」、タッチパッド式「iDriveコントローラー」を全車に標準装備した。またこの際、テレマティクスサービス「BMWコネクテッド・ドライブ」に対応している(サービスは11月8日より開始)。
価格はセダンが459~751万円、ツーリングが480~761万円、グランツーリスモが503~776万円。
【2014年2月19日発表】追加モデル
BMW M社が手掛ける超高性能モデル「M3セダン」(F80)を追加。エンジンが先代の4.0ℓ V8 NAから、413ps&550Nmを発する新開発の3.0ℓ直6ターボに変更され、ボディ・シャシーにCFRP(炭素繊維強化プラスチック)やアルミニウム合金が多用されたことで、車重が先代よりも軽量化されている。
また、電子制御式多板クラッチを用いた「アクティブMディファレンシャル」を採用し、より軽量かつ制動力の高い「Mコンパウンド・ブレーキ・システム」を標準装備。「Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システム」をオプション設定した。
トランスミッションは7速DCTのみで、価格は1104万円。
【2014年5月13日発表】追加モデル
「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」および、リモート操作やオペレーター対応が追加されるテレマティクスサービス「BMWコネクテッド・ドライブ・プレミアム」を、価格据え置きで標準装備する特別パッケージ「スマート・クルーズ」を、6速MT車以外のセダンに設定した。
【2014年8月28日発表】一部改良
「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」を、6速MT車以外のセダンおよび「ツーリング」に標準装備した。価格はセダンが483~785万円、「ツーリング」が505~796万円。
【2014年10月7日発表】追加モデル
廉価グレード「320i SE」(セダン。427万円)、「320iツーリングSE」(449万円)を追加。
【2015年8月20日発表】マイナーチェンジ
セダンと「ツーリング」をマイナーチェンジ。フロントバンパーのデザインを一新するとともに、新世代のコロナリングデザインを採用したLEDヘッドライトとLEDフォグランプ、LEDリヤコンビランプを全車に装着した(「M3セダン」の変更点はリヤコンビライトのみ)。
また、「328i」を7psアップのうえ「330i」に名称変更したほか、「モダン」のデザイン・ラインと「アクティブハイブリッド3」を廃止。
3.0ℓ直6ガソリンターボエンジンを新世代のモジュラーエンジンに変更し、従来の「335i」より20ps&50Nm高い326ps&450Nmとした「340i」の「ラグジュアリー」と「Mスポーツ」を、セダンと「ツーリング」の両車に設定した。
価格はセダンが427~776万円、「M3セダン」が1104万円、「ツーリング」が449~798万円。
【2016年1月26日発表】追加モデル
184ps&270Nmの2.0ℓ直4ガソリンターボエンジンに8速ATと一体型のモーター(88ps)、7.7kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、システム出力252ps&420Nmを発揮するPHVセダン「330e」を追加した。EV走行時の最高速度は120km/h、航続距離は36.8km。
標準仕様(554万円)のほか、「スポーツ」(577万円)、「ラグジュアリー」(597万円万円)、「Mスポーツ」(599万円)も設定している。
【2016年4月18日発表】一部改良
「M3セダン」に、3.0ℓ直6ツインターボエンジンの最高出力を19ps高め450psとし、専用チューニングの電子制御ダンパーとDSC(横滑り防止装置)、アクティブMディファレンシャル、Mスポーツ・エキゾースト・システム、軽量Mスポーツ・シート(シートベルトMストライプ付)、20インチ鍛造アルミホイール、ハイグロスブラック仕上げのキドニーグリルを装着する「コンペティション・パッケージ」(98万1000円)を、新たにオプション設定した。
【2016年5月19日発表】一部改良
「320d」「320dツーリング」に搭載される2.0ℓ直4直噴ディーゼルターボエンジンを6ps&20Nm高め190ps&400Nmにアップ。燃費も従来より約10%改善し、JC09モード燃費21.4km/ℓとした。また、「320SE」「320SEツーリング」を除く全車に「レーン・チェンジ・ウォーニング」を標準装備した。価格はセダンが427~782万円、「ツーリング」が449~804万円。
【2016年9月26日発表】マイナーチェンジ
「グランツーリスモ」をマイナーチェンジ。フロントバンパーのデザインを一新するとともに、新世代のコロナリングデザインを採用したアダプティブLEDヘッドライトとLEDフォグランプ、LEDリヤコンビランプを全車に装着した。
一方でグレードは大幅に整理され、184ps&270Nm仕様の2.0ℓ直4ガソリンターボエンジンを搭載する「320iグランツーリスモ」のみに。トリムレベルも「ラグジュアリー」(633万円)と「Mスポーツ」(639万円)の2種類に絞られている。
【2016年9月26日発表】追加モデル
136ps&220Nmを発する1.5ℓ直3ガソリンターボエンジン+8速ATを搭載した新たなエントリーグレード「318i」を、セダンと「ツーリング」の両車に追加した。
トリムレベルは「SE」(409万円/431万円)、標準仕様(446万円/468万円)、「スポーツ」(467万円/489万円)、「ラグジュアリー」(489万円/511万円)、「Mスポーツ」(489万円/511万円)の5種類。
【2017年5月10日発表】追加モデル
「グランツーリスモ」に、190ps&400Nmの2.0ℓ直4ディーゼルターボエンジン+8速ATを搭載する「320dグランツーリスモ」および、その4WD車「320dグランツーリスモxDrive」を追加した。
トリムレベルは「ラグジュアリー」と「Mスポーツ」の2種類で、価格はFR車が669万円/675万円、4WD車が700万円/706万円。
【2017年5月9日発表】マイナーチェンジ
「M3」をマイナーチェンジ。デイタイムランニングライト機能付きとなったデザインのアダプティブLEDヘッドライト、新デザインの19インチアルミホイールを採用したほか、harman/kardonサラウンドサウンドシステムとカーボンファイバートリムを標準装備した。
また、従来の「コンペティション・パッケージ」がグレードとして独立し「M3コンペティション」となった。価格は「M3」が1185万円、「M3コンペティション」が1256万円。
【2017年8月28日発表】一部改良
「M3」に価格据え置きで「BMWコネクテッド・ドライブ」を標準装備した。
■BMW328iラグジュアリー(FR)*2012年1月発表モデル
全長×全幅×全高:4625×1800×1440mm
ホイールベース:2810mm
車両重量:1560kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1997cc
最高出力:180kW(245ps)/5000rpm
最大トルク:350Nm/1250-4800rpm
トランスミッション:8速AT
サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク
ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前後:225/45R18
乗車定員:5名
車両価格(当時):586万円
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