プジョー208 Allure/GT Line 「見てカワイイしカッコイイ。親密に付き合っていっそう惚れ惚れする」そんなクルマだ。
- 2020/09/20
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世良耕太
欧州Bセグの代表選手の一台、プジョー208。ジャーナリストの世良耕太が「Allure」と「GT Line」の2グレードを乗り比べた。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
写真で見るより実物のほうがいいクルマがときどきある(直近ではヤリス・クロスがそうだった)。プジョー208は写真を見た段階ですでに好印象を抱いていたが、実物はもっと良かった。カワイイと思うと同時にカッコイイとも感じる。それだけで、多少のネガがあったとしても許せてしまいそうだ。小さなボディに最新のデザイン要素がギュッと凝縮されているところが、いい緊張感を生み出しているのだろう。
目を引くのはなんといっても、セイバー(サーベルの意)と呼ぶ、フロントバンパー両サイド部で斜めに切り込むデイタイムランニングライトと、それと呼応する三本爪をモチーフにしたフルLEDのヘッドライトだ。後で気づいたのだが(それまでどこを見ていたんだという話だが)、三本爪とセイバーが呼応しているのは最上位モデルのGT Lineだけで、中位モデルのAllure(アリュール)は三本爪なしのハロゲンヘッドライトである。
指摘されて気づくくらいだから、三本爪なしのAllureでも「カワイイしカッコイイ」と思いながら付き合っていたことになる。ディテールに惚れたのではない。全体が醸し出す雰囲気に惚れたのだと言っていこう。
プジョー208 GT Line
プジョー208 Allure
恥さらしついでにもうひとつ白状しておくと、GTラインとAllureの前後フェンダーアーチの違いにも気づいていなかった。GT Lineは前後のホイールアーチにグロスブラックの化粧パーツが装着され、17インチホイール(Allureは16インチ)と相まって足元を引き締めている(17インチはロードノイズが大きめだ)。人から指摘された後に写真を見て、違いに気づいた体たらくだ。どこを見ているんだという感じだが、森を見て木を見ていないだけである(と、開き直っておく)。
かつての205を彷彿とさせる形状のCピラーに設けられたくぼみにグレード名のバッジが装着されるのがGT Lineで、Allureはバッジなしだ。なぜだか、そこだけはすぐ相違に気づいた。
ドアを開けて運転席に乗り込むと、おなじみのi-Cockpitが目に入る。先代208から導入が始まった新しいコンセプトで、上下をフラットにした小径ステアリングの上からメーターパネルを覗き込む格好だ。視認性に優れ、レッグルームに余裕が生まれるというのがプジョーの言い分だ。ドライバーは腕を広げずにステアリングを保持することができるので、リラックスした姿勢で俊敏に操作することができるとも主張する。
そのi-Cockpitは新型208で3D i-Cockpitに進化した。表示は2層構造になっており、手前は主に重要かつ安全に関する情報を表示。奥は重要度のあまり高くない情報を表示する考えだ。ヘッドアップディスプレイと同じ仕組みを使って三次元的な表示を実現している。「3D表示により、ドライバーは情報に対して0.5秒ほど反応時間を短縮する効果がある」とのことだ。効果のほどはともかく、新しさは感じる。
ステアリングは形状だけでなく扱いにちょっとクセがある。反応はクイックで、少し舵角を与えるだけでクルマは大きく向きを変える。センターの座りが甘めでややおぼつかないところがあるし、一定の速度で舵角を与えているつもりでも途中で急に軽くなって「おやっ?」となったりもする。そういう性格だと思って付き合うのがいいだろう。
エンジンとトランスミッションの組み合わせは1種類だ。1.2ℓ直3ターボエンジンと8速ATの組み合わせである。最高出力は100ps(74kW)/5500rpm、最大トルクは205Nm/1750rpmだ。ふだん100psのクルマに乗っている身からすると、車重が80kgほど軽いことを差し引いても「これで同じ100馬力?」と感嘆するほど208は力強く走る。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間、反応良くグッと背中を押す加速が出るところが、力強さを感じさせる理由だろう。
100km/hで走ってもトランスミッションは8速に入らない。110km/hあたりでようやく8速に入る。130km/hに制限速度が設定されているフランスの高速道路事情似合わせたセッティングかと勘ぐりたくなる。100km/h走行時のエンジン回転数は7速で2200rpm前後だ。マニュアルモードを選択してパドルを引けば、100km/hでも強制的に8速に入れることはできる。そのときのエンジン回転数は2000rpm前後だ。7速のときほど活発ではないにしても、問題なく走る。
ただし、エンジン回転が2000rpmを下回ると、ちょっと厳しい。とくに上り勾配に差し掛かってアクセルペダルを踏み込むと、振動が出る。この振動を嫌って少し高めのエンジン回転数を使う制御としているのだろうか。あるいは、きびきび走らせる狙いだろうか。いつものように、小田厚燃費(小田原厚木道路の小田原西〜厚木IC間約32km)を測ったところ、18.5km/ℓだった。車重とエンジンのスペックから20km/ℓ超えは期待したいところだったが、振動を回避し、力強く走るのと引き換えに燃費を失ったということだろうか(極端に悪いわけではないが)。
ひと目惚れしたのはいいが、長く付き合って細かなところがわかってくると、興奮が収まって刺激を感じなくなることがある。208もインターバルを置いてGT LineとAllureに合計4回乗り、いろんなことがわかってきたが、最初に出会った頃の興奮と刺激は一切変わらない。クセのある部分はあるけれども、そういう性格なのだとしか思わない。見てカワイイしカッコイイ。親密に付き合っていっそう惚れ惚れする。そういうクルマだ。
プジョー208 Allure
全長×全幅×全高:4095mm×1745mm×1445mm
ホイールベース:2540mm
車重:1160kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式
駆動方式:FF
エンジン
形式:直列3気筒DOHCターボ
型式:EB2 PureTech
排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0mm×90.5 mm
圧縮比:10.5
最高出力:100ps(74kW)/5500pm
最大トルク:205Nm/1750rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:44ℓ
燃費:WLTCモード 17.0km/ℓ
市街地モード13.0km/ℓ
郊外モード:17.3km/ℓ
高速道路:19.3km/ℓ
トランスミッション:8速AT
車両本体価格:259万9000円
試乗車はオプション込み288万3430円(ナビゲーションシステム23万6500円/ETC2.0 4万4550円/フロアマット1万2430円)
プジョー208 GT Line
全長×全幅×全高:4095mm×1745mm×1465mm
ホイールベース:2540mm
車重:1170kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式
駆動方式:FF
エンジン
形式:直列3気筒DOHCターボ
型式:EB2 PureTech
排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0mm×90.5 mm
圧縮比:10.5
最高出力:100ps(74kW)/5500pm
最大トルク:205Nm/1750rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:44ℓ
燃費:WLTCモード 17.0km/ℓ
市街地モード13.0km/ℓ
郊外モード:17.3km/ℓ
高速道路:19.3km/ℓ
トランスミッション:8速AT
車両本体価格:293万円
試乗車はオプション込み338万4550円(ナビゲーションシステム23万6500円/ETC2.0 4万4550円/パールホワイト塗装7万1500円)
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