デザイン考:ダイハツ・ロッキーに思う巧妙さとダイハツならでは戦略 ダイハツ・ロッキー 強さと安心、SUVの持つ本来の性能を素直な形に
- 2020/06/10
-
CAR STYLING編集部 松永 大演

ダイハツが軽自動車より上のクラス、いわゆる登録車と呼ばれる車たちへの注力を明確に表明したのは、2017年の東京モーターショーのことだった。そしてまさに登録車となるロッキーは、トヨタブランドとシェアする中で独自の方向性を表現。今回はライズ、ロッキーという兄弟車なのだが、ロッキー視点でデザインに注目してみよう。
たった一つの要素の変更だけでの見事な作り分け


さらには、ルーフやピラーの色分けを容易にする工夫など、ユーザーには関係ないところではあるがなるほどと思える合理化も図られているなど、興味深いモデルでもある。
初代ロッキーの誕生は1990年。ラダーフレームを持つ1.6ℓのSUVで、パートタイム4WD(フルタイム4WDも存在したが…)をベースとしていた。当時タフトが大型化する中にあって、手軽に扱えるクロカン4駆として登場。スタイルはジープやランドクルーザー、ジムニーに並ぶ、堅牢さを湛えたものだった。
初代ロッキーの世界観を加味した手軽なSUV
今回のロッキーの再登場の中で、この初代ロッキーの幻影がなかったとはいえないだろう。新型ロッキーを形作るキーポイントが、全長わずか4m未満のいわゆるBセグメントとなる小さなボディながら、堂々たる佇まいを持っていることだ。ここに先代ロッキーの面影を感じられる気がする。
「気がする」と微妙な表現をしたのは、ダイハツとしても先代ロッキーのカテゴリーへの参入を目指したわけではないということ。現在盛り上がりつつあるコンパクトSUVの中で、どのような立ち位置にあるべきかを考えたときに、初代ロッキーの世界観がシンクロしたといえる。

今ある、王道イメージをあえて外してきたのが、新型ロッキーだ。そこには他のメーカーとは異なる事情もあるだろう。Bセグメントを「小さな」と表現したが、一般的には小さいとしてもダイハツにとっては大きな車になる。その捉え方自体が異なることから、登録車に対する価値観がトヨタや日産などのメーカーとは大きく違うのだ。
ある意味、トヨタとの価値感の違いをバンパーひとつで見事に作り分けたともいえる。しかしその見事さは、デザインの巧妙さからも生まれたものだ。
堂々とした存在感を表現するには、ボンネット先端を不当に低くしないことで、強さも表現。水系基調のサイドビューは安定感を強調するが、面白いのがルーフを後継させることを起点として、動感を表現している。止まっていても、走っているように見えるのだ。
5ナンバーに収まる1.7m未満の全幅ながら、ホイールアーチの豊かさも特徴で、どっしりとした力感を得ている。

信頼性抜群ながら決して退屈ではない形

このリヤスポイラーからのラインより上を黒くすることでルーフの存在感を薄め、前傾のCピラーの印象が強くなる。わずかなことだが、これだけのことで後傾の基本フォルムからまったく印象を変えてしまうことに成功している。

ここは非常に意図的なもので、上から見るとリヤドアのウインドウを後方に絞り込みながら、Cピラー以降ではほぼ絞らない面としている。つまりここで絞ることによって、下半身とウインドウ部分を分けて見せている。
ここを絞り込むことと、リヤドアのウインドウをキックアップすること、その流れから荷室周りを重く見せずに軽快なテイストが加味されている。
信頼性の高い、力強い印象ながら決して退屈に見せないのは、こうしたスポーティや軽快な要素をエッセンスとしてバランスさせているためだろう。
Bセグメントも、ダイハツにとっては上級車。その意識が、これからのダイハツの登録車戦略の大きな鍵であり、また強みでもあると思う。
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション

日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報

マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事

マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー

ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー

林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー

マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報

ダイハツ ロッキー
プレミアムG 4WD LEDヘッドライト・バックカメラ・シートヒーター
中古価格 223.3万円

ダイハツ ロッキー
プレミアムG HEV 純正9インチナビ ドラレコ パノラマモニター LEDヘッドランプ クルーズ...
中古価格 203.8万円

ダイハツ ロッキー
X HEV
中古価格 205.5万円

ダイハツ ロッキー
プレミアムG セキュリティーアラーム サイドエアバッグ アイスト LEDランプ 地デジ 横滑り防...
中古価格 229.2万円

ダイハツ ロッキー
X ディスプレイオーディオ バックモニター ETC2.0 プッシュスタート LEDヘッドライト ...
中古価格 179.9万円

ダイハツ ロッキー
プレミアムG シートヒーター オートライト キーフリー アイドリングストップ パノラマモニター ...
中古価格 201万円