トヨタ新型ハリアーハイブリッド:「スタイルが良くて身体能力の高いアスリートが、タキシードを着こなして歩いているかのようだ。完璧である」
- 2020/07/18
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世良耕太
トヨタの新型ハリアーは、新しい技術の採用に積極的だ。しかし、それより走りの完成度の高さが際立っている。「最近のトヨタは電気エネルギーと、電気で動かすモーターを、燃費よりもファン・トゥ・ドライブに振り向けて使うようになっている」と感じているモーターリングライターの世良耕太がハリアー ハイブリッドに試乗した。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
新型ハリアーはインテリアから見所満載だ
新型ハリアーは、視覚に訴える高級感の演出がうまい。メーカーイチ押しのカラーはプレシャスブラックパールだ。パネルの抑揚が作る陰影が艶やかさを引き立てており、パンパーやグリル、ドアノブに配したクロームメッキがいいアクセントになっている。
横一文字のテールランプは最近の流行りを取り入れたものだろう。このグラフィックを見ただけで、「最新のクルマだね」とわかる仕掛けだ。リヤのキャビンは強く絞り込まれており、そのせいもあってリヤフェンダーの張り出しが強調され、真後ろから眺めたときの安定感といったらない。運転席に収まって前を眺めるより、そこからの視点でハリアーのリヤスタイルを眺めていたい気分だ。
インテリアもいい。最初に目に飛び込んできたのは、ダッシュボードのセンターに位置する大型ディスプレイだ。カタログを確認してみたら12.3インチある。ヤリスに乗ったときは8インチのディスプレイがやけに大きく見えたものだが、車格と空間の広さに合わせたということだろう。大画面の4Kテレビをリビングルームに据えたような満足感が味わえる。画面を3分割して複数の情報を表示しても充分な表示面積を確保できるのは、大画面ならではだ。マップをはじめグラフィックが古くさくては興ざめだが、大画面で表示しても見栄えのするグラフィックになっている。
センターコンソールは馬の鞍をイメージした革張りで、上質感がある。ダッシュボードからドアパネルにかけての形状や素材、加飾も上質だ。押しつけがましさがないのがいい。ライト点灯と連動した室内のイルミネーションは深いブルーで、「なんだか、いやらしいなぁ」と思いつつも、好きである。
新しい技術の採用にも積極的だ。新型ハリアーはトヨタ車として初めて前後方録画機能付きのデジタルインナーミラーを採用している。画像が粗いとモヤモヤした気分になるものだが、ハリアーのそれはクリアで、後続車のドライバーの顔までしっかり認識できる。試乗時は悪天候だったが、視界の条件が悪いときほどありがたみを感じる装備だ。
調光パノラマルーフもトヨタ車としては初採用だ(一部グレードにメーカーオプション)。調光システムがオフの状態では障子越しのようなやわらかな光が差し込み(不透明の状態)、調光システムをオンにすると瞬時に透過状態に切り替わる。シェードの電動開閉も可能だ。フイルムに電圧をかけることで、ランダムに並んでいた液晶が整列し、光を透過させる仕組み。電圧オフ(調光システムオフ)の状態では液晶がランダムに並んでいるため外からの光が拡散され、障子のような不透明な状態になる。紫外線は99%以上、赤外線は90%以上カットするのもポイントだ。
この手の装置をルーフに搭載すると頭上空間が犠牲になりがちだが、身長184cmの筆者が後席に乗り込んでも、頭上に充分なスペースが残る。もっというと、足元のスペースにも余裕がある。柔らかな光が室内を満たす感じが新鮮だし、ボタンひとつでパッとクリアになるマジックのような切り替えも新鮮。調光パノラマルーフは後席のゲストをもてなすのにちょうどいい。後席ついでに触れておくと、市街地での乗り心地や前席乗員との会話明瞭性も高級車にふさわしいレベルであることを確認できた。
運転席に戻る。プラットフォームを共有する(TNGAプラットフォームひとつ、GA-K)RAV4の運転席と比べると、ハリアーはやや深くもぐり込んだ印象で、囲まれ感が強い。逆に、ハリアーからRAV4に乗り換えると、上半身が大きく露出した感じを受ける。機動力をウリにするRAV4は不整地などで周囲がよく見えることが重要だが、ストリートがメインステージのハリアーは落ち着いた雰囲気を優先したいということだろうか。囲まれ感が強いからといって、四囲の視界に何ら問題はなく、初めて乗り込んでも取り回しに気を遣うことはない。
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