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トヨタ・ハリアー(初代)1997-2003 SUVを泥から抜け出させたクルマ【週刊モーターファン・アーカイブ】

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世間をあっと驚かせたこのモデルは横置きFFベースとして、広々としたキャビンを持ちながらSUVの多用途性を実現。クロカン4WDからアプローチしなかったことで、セダンを越えるほどの快適性を得たのである。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

レポート=小野里 誠 (90年代国産車のすべて より 2011年刊)

【Aピラー】SUVらしからぬ傾斜角で、舗装路に合う乗用車的スタイルに。【エンジン】220ps/31.0kgmの3ℓV6と、140ps/19.5kgmの2.2ℓ直4を設定。【タイヤ】舗装路で快適ながら悪路にも対応。【全高】1665mmの低全高はカムリをベースとしたモノコックボディの賜物。【ラゲッジ・ルーム】小物入れはワゴン並みに充実。後席を倒した時の奥行きは1530mm。【リヤゲート】当時多かった横開き式ではなくワゴン同様情報へ跳ね上がる。【最低地上高】185mmを確保した。

 日本発!SUVの新世代ムーブメントを起こしたといっても過言ではない、それが「ハリアー」。東京モーターショーで「参考出品」としてデビューしたハリアー。大径タイヤが与えられた高いアイポイントを持ちながらも、それはもちろんオフロ—ドをイメージするクロカンではなかった。従来のSUVやミニバンとも一線を画したセダン以上に流麗で「街」に似合うスタイリング、そして、インテリアには、ワゴンを超子たユ—ティリティの高さ等々、なによりも「豪華」さが与えられた。そのムーブメントはクロスオーバーとして、今や世界の潮流ともなっている。

ラインナップは220psの3ℓ DOHC V6ユニットを搭載するハリアー3.0と、140psの2.2ℓ DOHC 直4のハリアー。ベ—スモデルはFFとしているが、フルタイム4WDモデルとしてFOURがある。

SUVのイメージは全く感じさせない上質さと機能。ステアリングには、マニュアルシフトを可能とする「スポーツシフトマチック」が備わっている。

メーターはトヨタ製高級車ではお約束の「オプティトロンメーター」だ。

クロスオーバー・モデル(乗用車とクロカンのハイブリッド)としては、RAV4やCR-Vに共通するコンセプトではあるが、ハリアーの最も新しくそれらと確実に違うところは、高級車をベースとしたオリジナル性に富んだスペシャルティカーをめざしたこと。「タキシード姿のライオンが夜の都会をクルージング」そんなTVCFがピッタリとマッチする、アーバンクルーザーがその本質だ。

なお、パッケージオプションとしては、スポーツシートやディスチャージ・ヘッドランプ、JBLオーディオなどを装備した「Sパッケ—ジ」と、より豪華装備の「Gパッケージ」を設定していた。

アイポイントの高さこそあれ、走りはクラウン級のフットワ—クと静粛さを併せ持つのが狙い。それでいて、ストロークの長い足回りと、高い地上高はオフロード走行も楽しめ、さらに、ワゴン以上の居住空間が与えられた。つまりハリアーには、次世代の主流となるファクターが凝縮されていたのである。

高級サルーンの雰囲気を演出したインテリア。
アイポイントは高いが、ドライビング・ポジションは自然な乗用車感覚。
エンジンは、ウィンダムに搭載する1MZ-FE 3ℓ・DOHC V6ユニットをハリアー用としてアレンジしたもの。220ps/31.0kgmのパワーとトルクを発揮する。フラットで扱いやすい特性、そして静粛性は、ハリアーの魅力でもある。
第220弾 TOYOTAハリアーのすべて(1997年1月発売)

モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて

■10~20年前のクルマに感動しよう!
 80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。

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