内燃機関超基礎講座 | 5000rpmで走るディーゼルレーサーMazda6 SKYACTIV Clean Diesel Racecar
- 2021/01/08
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世良耕太
2013年のグランダムGXクラスに参戦し、クラスタイトルを獲得したマツダ6が日本上陸を果たした。アメリカ市場で「ロータリーのマツダ」から「ディーゼルのマツダ」へのスイッチを印象づけるべく開発されたマシンである。「スカイアクティブ・クリーンディーゼルレーサー」を名乗るだけのことはあり、エンジンは量産ベース。チューブラースペースフレームに載るカーボンファイバー製シェルを一部はがし、ディーゼルレーサーの「メカ」を観察した。
TEXT:世良耕太(SERAKota) PHOTO:山上博也(YAMAGAMI Hiroya)/世良耕太
*本記事は2014年2月に執筆したものです
マツダ6スカイアクティブDクリーンディーゼルレースカーは、全12戦で行なわれる2013年のグランダムGXクラスにエントリーし、70号車が4勝、00号車が5勝を挙げ、クラスタイトルを獲得した。車名から想像がつくように、量産スカイアクティブDと密接にリンクしたレーシングカーである。
20B型の3ローター・ロータリーエンジンを積んで参戦していたRX-8グランダム仕様のベース車両が2012年で生産終了になるため、その後継モデルとして選ばれたのがマツダ6(日本名アテンザ)だった。それもディーゼル。マーケティング的には、投入が予定されているマツダ6のディーゼル仕様をプロモーションする意味で意義がある。「ロータリーのマツダ」から、「ディーゼルのマツダ」へのスイッチだ。
横置きから縦置きにスイッチするものの、マツダ6グランダム仕様が積むエンジンは、2.2ℓの排気量も、直列4気筒のシリンダー数/配列も変わらない。2ステージターボな点も同じだ。参戦を支援するマツダ・ノース・アメリカン・オペレーションズの発表によれば、エンジンを構成する全パーツ数の51%がオリジナルであり、重量で見れば61%が純正部品にあたるという。
エンジンも車体も、開発はフロリダ州コーラルスプリングスに拠点を置くスピードソース(Speed Source)が行なう。前モデルのRX-8のみならず、その前のRX-7の時代からマツダの車両を用いてレース活動を行なってきた。その熱意と専門知識を見込んでの指名である。エンジンに関する大物部品では、ブロックとヘッドは量産そのままだが、ウェットサンプをドライサンプに変更。ピストン、コンロッド、クランクシャフトは耐久性の高い仕様に置き換えている。2ステージのターボチャージャーは量産と同じハネウェル/ギャレット製だが、レース向けのカタログ品に置き換えた。
外観はマツダ6のイメージを色濃く受け継いでいるが、まったく同じ、ではない。マツダ6に見えるようにスタイリングしているのだ。日米のデザイナーが協力し、量産マツダ6のイメージを受け継ぎつつ、レーシングカーとしての機能を成立させている。ボディはカーボンファイバー製。車体はチューブラースペースフレームである。前作RX-8と基本構造は同じだ。スカイアクティブD・グランダム仕様が発生する400hp/445lb-ft(603Nm)の出力/トルクは、トルクチューブを通じてリヤに搭載する6速シーケンシャルギヤボックスに伝えられる。
参戦カテゴリーを制したマツダ6・グランダム仕様は、グランダムシリーズに参戦した最初のディーゼルエンジン搭載車両となり、デイトナ24時間に参戦した最初のディーゼルレーサーとなった。シリーズの一戦にはインディアナポリスも含まれていたが、インディで勝利した最初のディーゼルエンジン搭載車両という記録は残したものの、「参戦」に限れば過去に例があった。1952年、カミンズ・ディーゼル・スペシャルが、インディ500に出場し、ポールポジションを獲得している。
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