アウディA4とBMW3シリーズを比較試乗! 〈プレミアムDセグメント・ステーションワゴン〉
- 2019/12/18
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森口 将之
アウディといえばクワトロ……だけではない!
同時に試乗した320dは190㎰/40.8㎏mと、最大トルクについては倍近い数字をマークしており、加速の余裕は圧倒的だ。日本の交通状況では燃費も優位になるだろう。しかし車両重量が1650㎏に達していることに加え、ディーゼルエンジン特有のおっとりした吹け上がりのためもあり、走りは全般的に重い。逆に言えばA4のほうが爽やかな加速感だった。
欧州車を信奉するクルマ好きは、ディーゼルエンジンを評価する人が多い。しかしその欧州では、旧式なディーゼル車が都市環境に悪影響を与えることや、排出ガス対策で車両価格が上昇していることなどが理由となって、ディーゼル車のシェアは下がりつつある。つまりガソリン車が挽回している。
欧州の人たちは、自分たちの使い方に合わせて、ガソリン車とディーゼル車を上手に使い分けている。最近の日本はなぜか二者択一的な議論に陥りがちだが、すべてのシーンでディーゼルが素晴らしいわけではなく、車両価格も含めて考えればガソリン車が優位な場面もあることには言及しておきたい。
となると1.5ℓ3気筒ターボを積んだ318iツーリングの乗り味に興味が湧く人もいるだろう。筆者は基本的に同じエンジンを積む1シリーズの118iに乗ったことがあるのでその印象を述べれば、力は十分であり、3気筒特有の音や振動も、縦置きということもあってあまり気にならなかった。
もっとも1シリーズだから、そう感じたという面も否定できない。136㎰/22.4㎏mという、A4アバント1.4TFSIより控えめな最高出力/最大トルクで1620㎏という重いボディを動かすとなると、同じような感触は得られない可能性もある。
そもそもA4や3シリーズが属するプレミアムDセグメントに、3気筒がふさわしいかどうかという議論もある。プレミアムを名乗るなら、走りの質にも配慮するべきであり、その点では4気筒にアドバンテージがあるのではないかと、A4に乗ると感じてしまうのも事実だ。
ちなみに2台はアダプティブクルーズコントロールをはじめ、最先端の運転支援システムも搭載している。今回の取材ではこの部分もチェックしてみたが、設計年次の違いもあって、A4のほうが全般的に洗練されたマナーを披露してくれることが分かった。
サスペンションはどちらも、ストローク感は短めであるが、段差や継ぎ目は巧妙にかわしてくれるという、近年のアウディとBMWのスタンダードである。
ただ今回の試乗車で言えば、A4のホイール/タイヤが17インチなのに対し、3シリーズはMスポーツということもあって19インチであり、いなしのうまいBMWをもってしても、路面からのショックを伝えがちで、ユラユラした揺れを伴うことも事実だった。平和でリラックスした時間を過ごせたのは、フラット感で勝るA4のほうだった。
今回は東京近郊の一般道路と高速道路でのドライブだったので、山道を駆ける機会に恵まれなかった。こうした条件下では、ハンドリングに大差はなかった。
もちろん前輪駆動と後輪駆動という違いはある。しかしそれはコーナーの出口でアクセルペダルを踏んだときであり、コーナー進入時は予想以上に似たフィーリングをもたらしてくれた。
言い換えれば、1.4ℓエンジンを積んだ前輪駆動のA4が、高水準のマナーを示してくれたということになる。現行A4において前輪駆動モデルのレベルアップが著しいことは最初に書いた。今回乗った1.4TFSIは、その延長線上にあった。ノーズの重さはほとんど気にならず、ステアリングの滑らかなタッチは、絶品という言葉を使いたくなるレベルだった。
もちろんコーナー立ち上がりでアクセル踏んだときの挙動には違いはある。3シリーズは後輪が路面を蹴って旋回を強めていくことが分かる。おそらくこの感触は、1.5ℓ3気筒ターボエンジンを積んだ318iでも感じられるだろう。しかしそれは、キャラクターとして評価すべき部分であり、クルマとしての良し悪しにはさほど関係しないのも事実である。
アウディと言えばクワトロ。クルマ好きの中で、こういう考えが主流だったことは間違いない。しかし1.4ℓターボエンジンを積んだ前輪駆動のA4は、その通説を覆すのに十分なバランスの良さを備えていた。そもそもアウディはドイツで最も長い間、前輪駆動を手掛けてきた。その経験を改めて教えてくれる1台だった。
AUDI A4
最高出力:150~252㎰
最大トルク:250~370Nm
車両価格:447~658万円
BMW 3series
最高出力:136~326㎰
最大トルク:220~450Nm
車両価格:409~835万円
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