デザイン考:2人の新たなスポーツギアの形=ダイハツ・タフト デザイン考:ダイハツ新型タフトはガンガン使い倒せる道具箱「 語りかけるスズキ・ハスラー、道具箱に徹したタフト」
- 2020/06/13
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CAR STYLING編集部 松永 大演
語りかけるハスラー、道具箱に徹したタフト
ところで、競合といってすぐに思い出すのはスズキ・ハスラーだろう。ハスラーは、ライトSUV的存在として市場を大きく変えるほどの影響力を持つモデルだ。さらに、スズキの軽自動車にはオフロード界でも一目置かれるジムニーもある。
ダイハツとしては、軽自動車としてハスラーやジムニーなどのようなSUVカテゴリーがなく、よりごついモデルが欲しいところだ。そんな視点でいうと、ポジション的にはジムニーとハスラーの間くらいのモデルがタフトだといえそうだが、前述の通り前席より後ろはマルチスペースという考え方がある時点で、大きく異なる位置にいる。
では、この3車にどんなデザインの違いがあるのだろうか。
ジムニーは仕事に必須とされるニーズもあるなど、プロユースに応えられることも必須。つまりは徹底した機能からデザインされ、いかにも整然としたモデルでもある。そこからの徹底した直線基調が、朴訥(ぼくとつ)なジムニーらしさの説得力となっている。
ハスラーは初代より、フレンドリーなSUVスタイルを持った。ジムニーほどの本格機能は必要ないが、そこそこのラフロード性能とジムニーよりももっと広い居住空間、荷室空間は欲しい。
ここに至る時の思い出されるのが、スズキが持つジムニーでの過去の苦い思い出だ。それは、90年代に三菱から発売されたパジェロ・ミニの人気ぶりだ。ジムニーの踏破力には及ばないものの、当時、北国のナースはパジェロ・ミニを選ぶといわれたほど。ラダーフレームを持つジムニーは、堅牢性では突出するがフロアは高く運転にもある程度の緊張感を伴った。対するパジェロ・ミニはモノコックボディの恩恵からフロアが低めで、乗降性が良い。運転感覚もミニカ・プラスアルファくらいの意識で乗ることができた。それらのこともあって、大きなヒットを得たのだった。
SUVの裾野を広げるには、プロユースとは違うレジャーユースに向くイージドライブの魅力を持っているべきとの思いが、このハスラーにつながるコンセプトを温め続けたのではないだろうか。
それゆえに初代ハスラーは、自動車業界の禁を破るようなやや笑顔のモデルとして生まれた。誰でも迎え入れる、包容力が感じられる。四角いながらも面は柔らかく、広さと優しさを兼ね備えた形だった。続く2代目は当然ながら初代の大人気を受けて、キープコンセプトとなる。しかしさらに室内の広さや使い勝手のよさをアピールするように、より四角いスタイルへ。
さらに、サイドウインドウの後方のリヤピラーにもう一つ窓を持つ、6ライトとした。より広く日常的に使える荷室をアピールすることとともに、後方視界の改善をも図った。
先代から香らせていたノスタルジックな要素をさらに加味し、ツートーンのルーフの塗り分けをリヤピラー部分にまで拡大。かつてのジムニーの幌仕様のイメージも織り込んだ。一緒に遊びに行こう、と語りかけているような雄弁さを感じる。
道具としてガンガン使うのが似合う新型タフト
ここまで読み進めていただければ、だんだんタフトの立ち位置が見えてくるのではないだろうか。
実際のところ、ハスラーとはフォルムや構成要素の扱いなどにも似ている点が結構あったりする。
前後フェンダーカバーの黒い樹脂が、前後に回り込む造形は同じ考え方だ。しかしそんなことがあっても、印象はまったく異なる。
それは、元々の発想の起点が異なるからだが、造形イメージもタフトは大切なものを守るプロテクター・ツールケースという道具箱に徹したものに感じられるからかもしれない。モノに徹した、頼れるギアという印象だ。
かつてのタフトは、完全なクロカン4駆だった。コンパクトでありながら行動範囲の広さが魅力だった。そんなヘビーさを、新型タフトは現代的にストリートダウンして見せた。新型にはそんな解釈もできる。
さらにわかりやすくいうならば、ハスラーは週末に家族で洗ってあげるのも似合う、新たなファミリーカー。そしてタフトは、キズも勲章になるような、ガンガン使い倒すヘビーツール、というところかもしれない。
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