トヨタRAV4 PHV システム出力300psオーバーのRAV4はモーター駆動ならでは走りが自慢。RAV4ハイブリッドとは別のクルマだ
- 2020/07/27
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世良耕太
トヨタRAV4のPHEVモデルであるRAV4 PHVはEV走行で95km走れるプラグインハイブリッドだ。燃費だってRAV4ハイブリッドを上回る。でも、RAV4 PHVの真骨頂は「エコ」ではなく「スポーツ」だ。予想以上の人気で年度内の生産分は完売状態のRAV4 PHV。その走りは鮮烈だった。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
最近のトヨタは、モーターの使い方が変わった
最近のトヨタは、モーターがもたらす走りの気持ち良さを重視する方向でハイブリッド車を仕立てている。その最新事例がRAV4 PHVだ。プラグインハイブリッド車を意味するPHVは、大容量のバッテリーと外部充電の機能を備えることでハイブリッド車よりもEV走行距離を長くとれるのが特徴だ。しかしRAV4 PHVはEV走行距離の長さよりも、モーターがもたらす走りの楽しさを意識して開発された。
モーターはエンジンとトランスミッションの組み合わせに比べて圧倒的に初期応答性が高く、シームレスに加速する。背中を押す力が強く、しかも長く続くほど気持ち良く、楽しく感じる。日産ノートe-POWERがヒットしているのはまさにこれで、モーターがもたらす走りが「ひと踏み惚れ」を巻き起こしているのだ。RAV4 PHVはもっと大胆に、モーターがもたらす走りの気持ち良さを引きだそうとしている。ずっとパワフルだ。
高出力のモーターを搭載すれば、自動的に走りがパワフルになるわけではない。カギを握るのはバッテリーの容量だ。ボルト(電圧)×アンペア(電流)で決まる。モーターでパワフルに走らせようと思ったら、同時にバッテリーの容量を増やす必要がある。RAV4 PHVのバッテリー容量は18.1kWhだ。RAV4ハイブリッドのバッテリー容量は公表されていないが、間違いなく一桁多い。
だから高出力のモーターを搭載しても、そのポテンシャルを充分に引き出すことができるのだ。RAV4ハイブリッドのモーター最高出力はフロントが88kW(120ps)なのに対し、PHVは1.5倍の134kW(182ps)もある。リヤモーターの仕様は共通で、最高出力は40kW(54ps)だ。PHVのシステム最高出力は225kW(306ps)に達する。
PHVはバッテリー容量を大幅に増やしたにもかかわらず、ベース車のユーティリティを一切犠牲にしていない。バッテリーパックは前席床下に搭載している。「ということは、最低地上高が犠牲になっている?」と勘ぐりたくなるが、ほとんど影響していない。ガソリン/ハイブリッド仕様の最低地上高を決めているのは排気管の下端だ。PHVは排気管の下端よりも上にバッテリーパックを収めている。ハイブリッドの最低地上高は190mmなのに対し、PHVは全体を5mm上げたことで195mm(試乗したBLACK TONEは200mm)を確保している。「RAV4の大事なところは絶対に守る」決意で開発にあたったと、開発担当者のひとりは説明した。
ハイブリッドのバッテリーが40kgだったのに対してPHVのバッテリーは155kgになり、140kgの重量ハンデを負うことになった。だが、デメリットばかりではない。バッテリーパックを車体に強固に固定したためボディ剛性が向上したし、重心高が下がったため「乗り心地、操安、直進安定性が向上。(バッテリーパックを床下搭載した)メリットは非常に大きかった」とくだんの技術者は話す。
RAV4ハイブリッドはバッテリーを後席下に搭載しているが、PHVはその位置にDC-DCコンバーターと充電器を収めている。玉突き現象で、燃料の蒸気を吸着して外に出さないようにするキャニスターが荷室に追い出され、その影響で荷室容量が540ℓから490ℓに減ってしまった。だが、搭載できるゴルフバッグの数に変更はなく、実用的な広さは維持している。スペアタイヤを積まずにパンク修理キットにすれば容量を稼げたのにと思ってしまうが、PHVであってもスペアタイヤを載せるのがRAV4の矜持である。
「背中にタイヤを背負った車がRAV4のイメージです」と、前出の開発担当者は説明する。「RAV4はどこまでも走れるのがコンセプト。かつ、行った先で困ることがあってはいけません。例えサイドウォールが割れても、タイヤを交換すれば走ることができる。だから、スペアタイヤは絶対に載せるんだと、こだわってそうしました」
バッテリーの冷却にトヨタとして初めて冷媒を採用したのもトピックである。これまでは空気をケース内に流して冷却していた。バッテリー(リチウムイオンバッテリー)の能力を効率良く引き出すには、温度管理が重要だ。人肌(36℃前後)がちょうどいい。それより低いときはヒーターで暖め、高い場合は−30℃の冷媒で冷やす。冷媒冷却の効果は大きく、サーキットを走ってもバッテリーは音を上げないという。
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