トヨタ・ソアラ(4代目)2001-2005 日本人になじみやすい「"ちょっと"浮世離れ」カーの最期【週刊モーターファン・アーカイブ】
- 2020/10/15
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MotorFan編集部
1981年の初代から数えて4代目となる最終型ソアラはクーペ・コンバーチブルの4シーター (2+2) という形式でデビューした。そして日本でも2005年にはレクサスブランドに移行して2010年まで生産され、歴代モデルで最もロングライフを誇ることとなった。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。
レポート=ウナミ 哲也(00年代国産車のすべて より 2012年刊)
トヨタというメーカ—はここ数年で(2012年当時)『iQ』「レクサスLFA』『86』といった目立つモデルを連発し、メ—力—として思い切った姿勢が表面化している。ところがその前までは「安定路線」の会社として一般的には認知されていたように思う。
しかしながら、そもそもトヨタ自動車というのは「"自前"つまり日本の技術で世界と戦ってやる」という野心にあふれるメーカーなのであった。何しろ日産が1952年にオースチン社と技術提携し、1953年には日野自動車がルノーのOEM車を生産していたちょうど同じ時期(1953年)に、トヨペット・スーパーを独自開発で生産・販売していたのだ。しかしこのスーパーはリーフリジッドの前後サスを採用していたため、非常に乗り心地が悪かったことをはじめ、性能面・快適面では外車やそのOEM車/技術供与車に大きく水を空けられていた。
そんな中で登場したのが、前輪をコイルスプリングによる独立懸架として大幅に快適性を高めた初代クラウンだったのだ。もちろんこれも海外メーカーの技術供与なしに達成したものである。ただし、その外観などには多分に米国車の匂いが感じられたことは事実だが。
さてソアラである。デビュー時の1981年といえば石油ショックや排ガス規制の影響、とりわけ「自粛」ムードが漂い、直前にターボエンジン解禁となるも145psを上限とする自主規制が存在していた。そんな高出力や華美な方向に向かうことを自制していた自動車業界にあって、初代ソアラは突然2.8ℓの大排気量と175psの高出力、そしてデジタルメ—夕—をはじめとした先進装備で颯爽と登場したちまちベストセラ—となる。しかしそのスタイリングは自動車史を変えるほど画期的ではなく、デザインやコンセプトなどはBMW6シリーズ等に似た保守的な雰囲気を持っていた。しかし「ガイシャ」である6シリーズを持つまでには至らないが、少しだけ浮世離れした雰囲気のクルマを持ちたいという日本人の欲求に日本のメーカ—が応えた「行きすぎない贅沢」を持つ、実は日本独自といえるクルマだったのだ。
その後のソアラは2代目・3代目ともに初代と同じく15万台前後を売り上げた確実なヒットモデルとなる(日本ではやや不振な3代目も北米で人気車種となった)。
そして4代目。結果的にソアラとして最終モデルとなったこの4代目は、従来のクーペボディとは決別して電動折りたたみ式ハードトップを備える4シーターオープン専用モデルとなった。
ところがこの4代目モデルは3代目モデルから始まり、そしてこのモデルで顕著になった「北米偏重」のクルマ作りによって日本人の考える「行きすぎない贅沢」基準を大きく超えていった。具体的にはアメリカにおいてガチでBMWやメルセデス、それにジャガ—らと戦つことを想定したモデルになったのだ。
もちろん内外装の質感は大きく向上したが、これによって価格帯は大幅に上昇していき(3代目が300万円台中盤をメインにしていたのに対して、4代目は600万円ジャスト)、ソアラとしての販売台数は1万台にも満たなかった。この数字は2005年にソアラの名を消滅させて北米同様に「レクサスSC」と改称してからも大きく伸びることはなく、2010年末にソアラ系の歴史は幕を閉じることになる。
しかし我々は疑問に思うのだ。果たして4代目ソアラは本当にソアラだったのかと。あれはレクサスの上級モデルであって、日本の風士に合わせた高級ク—ぺではなかったように思える(日本での月販目標台数はわずか100台)。願わくば、レクサスLSとはまったく違う立ち位置で凛としているトヨタ・クラウンのように、ニッポン人が誇るクーペとして4代目ソアラはデビューしてほしかったと思ったファンも少なくなかっただろう。
レクサスSC SC430
[寸法・重量・性能]
全長(mm):4535
全幅(mm):1825
全高(mm):1355
室内長(mm):1495
室内幅(mm):1500
室内高(mm):1085
ホイールベース(mm):2620
トレッドF(mm):1550
トレッドR(mm):1530
車両重量(kg):1740
[エンジン]
形式:3UZ-FE
種類:V型8気筒DOHC
排気量(cc):4292
圧縮比:10.5
最高出力:280ps/5600rpm
最大トルク:43.8kgm/3400rpm
燃料タンク容量:75リットル
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
[走行伝違装置]
駆動:FR
トランスミッション:6AT
サスペンションF/R:ダプルウイッシュポーン(スタビライザー付)
プレーキF:ベンチレーテッドディスク
プレーキR:ディスク
タイヤF/R:245/40R18 93Y
最小回転半径:5.4m
乗員定数:4名
価格(万円):710.0
10モー ド/10・15モード燃費:8.7km/リットル
モーターファン別冊 その他のシリーズ 00年代国産車のすべて
才色兼備 ハートに刺さる名車たち!!
「才色兼備」の時代。00年代のクルマたちは、実にいろいろな要求に応えなければならない時代でした。安全、環境に対する規制はそれまで以上に厳しいものでした。必然的にクルマのパッケージやメカニズムは、それらの多くの要求を満たす必要があったのです。さらにユーザーのニーズは多彩になり、車型のバリエーションは90年代に揃ったものの、そこからどんなクルマを生み出していくのか? はメーカーにとって大きな課題でした。もはや80年代のクルマとはまったく違うクルマになってきたのです。
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