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日産シルビア S15登場!(1999-2002)スポーツ路線の明確に! 【週刊モーターファン・アーカイブ】

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初代の登場が1965年なので35年間、その名を残してきたモデル。途中数度のブランクを作りながらもブランドを維持。そして7代目に至り、ふたたび幕を閉じることになったモデルである。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

レポート=工藤貴宏(90年代国産車のすべて より 2011年刊)

S15型ンルビアを初めて見たとき、クルマ好きの多くは「美しさ」をクルマに感じられただろう。先代のS14型に比べるとずっとモダンになったフロントマスク、そしてハイライトはリヤフェンダーだ。ボディサイドのキャラクタ—ラインでグッと張り出たフェンダーの見せる立体感。FRならではの後輪の踏ん張り感を印象付けていた。その美しさは、所有して日々様々なシーンで見るごとに驚きをもって深く感じ入っていく種類のものでもあった。

豊かな造形に見えるが、5ナンバーサイズに収まるコンパクトさも特徴のひとつ。キャビンをコンパクトにすることで実現しているが、とりたてて室内が狭すぎるという印象もないのが面白い。

S13(先々代)で爆発的にヒットを飛ばしたシルビアだが、そこからS15が登場する10年という時代の流れは、スペシャルティカーにとってはとてつもなく大きなものだった。ミニバンなど実用主義を掲げるクルマに人気が移る一方、この世の春を謳歌していたスペシャルティカ—の人気は急降下。S14の販売台数はS13の絶頂期の半分どころか5分の1以下という状況まで落ち込んでいた。

ダッシュボード上部を低くし、エア吹出口などの機能部分を突出させた造形。傾斜のきついウインドウへの写り込みにも配慮しているようで、余計な線やコントラストのつきやすい造形なども極力排除。

S14からS15へのフルモデルチェンジにあたっては、日産としての期待も用意された予算も多くなかったという。だから、プラットフォームはS13時代から、エンジンもS14時代後期から受け継ぎ改良を加えられたものに過ぎなかった。目新しいのは、スタイリングだけだったのである。

単なるコンパクトなスポーツだけでなく、クルマとしての利便性もプラス。トランクスルーはスノーボードや分割したロードレーサーを乗せるのにも悪くない。

しかし、そんなことはどうでもよかった。最高に美しくてカッコよかったからだ。そして、走りも最高に気持ちがよかった。
「モーグルのように気持ちよくターンできることを目指した」。開発を担当した大竹良治主管はシルビアの走りをそう解説した。その秘策のひとつが、ガチガチに剛性を上げた「スポーツチューンドボディ」。夕—ボ車に採用されたこのボディは、フロア3ヵ所に補強を施したものだが効果は絶大。コ—ナリング時の安定感、具体的に言えばフロントタイヤのターンインのスムーズさと安定感、そして後輪が描く軌跡のブレの少なさはS14とは段違いだった。

大きなタコメーターを中心にしたメーターパネル。夜間は赤色の透明照明で文字を光らせ、昼とは大きく印象を変える。

確かに、エンジンは改良されたとはいえガサツな印象を拭えなかったし、ステアフィールもやや荒い部分があった。だから、口の悪い人は低次元のスポーツカーと呼ぶかもしれない。しかし、運転した多くの人は言った。「運転が楽しい」「曲がることが気持ちいい」と。ドリフトのベース車両としてここまで優れた国産車は、S15以降登場していない。販売台数こそ芳しくなかったが、いかに人を楽しませるか、いかに走りで気持ちょくさせるかでクルマを判断するのなら、S15シルビアは大成功だったといえるだろう。

第243弾 新型シルビアのすぺて 1999年1月発売
第140弾 新型シルピアのすぺて 1993年10月発売

SPECIFICATIONS

【発表】1999年1月
【価格】239.0万円(当時)
【寸法・重量・性能】
全長×全幅×全高:4445×1695×1285mm
ホイールベース:2525mm
トレッドF/R:147011460mm
車両重量:1240kg
10モード燃費:11.2km/ℓ
【エンジン】
型式:SR20DET
種類:直列4気筒DOHC
総排気量:1998cc
圧縮比:8.5
最高出力:250ps/6400rpm
最大トルク:28.0kgm/ 4800rpm
燃料噴射装置:ECCS
燃料タンク容量:65ℓ(無鉛プレミアム)
【走行伝達装置】
駆動:後輪
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:マルチリンク式
ブレーキ前:ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後:ディスク
タイヤ・サイズ:205/55R16

モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて

■10~20年前のクルマに感動しよう!
 80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。

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