マツダ・ルーチェロータリークーペ(1969)心臓の強さは決して表に出さず【週刊モーターファン ・アーカイブ】
- 2021/05/13
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MotorFan編集部
マツダ=ロータリーエンジンの図式ができはじめていた60年代末。しかしそれでもロータリーファンをもあっと驚かせたのが、ルーチェの上級クーペ。なんとこのモデルFFだったのである。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。
解説●渡辺 陽一郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)
60年代のクルマを振り返ると、特殊なメカニズムを備えて投入され、少量生産で終わったクルマがいくつか存在する。ルーチェロータリークーペのそのひとつだ。
ルーチェは66年に投入された1.5ℓエンジンを搭載するミドルサイズのセダン。スッキリした美しいボディタイルが特徴だった。
このルーチェをクーペにアレンジしてロータリーエンジンを搭載したのが、ルーチェロータリークーペに思えるが、車両の成り立ちはまったく異なる。フロントマスクは共通性のあるデザインながら、セダンの後輪駆動に対して前輪駆動を採用したからだ。
もちろんシャシーは別設計で、フロントサスペンションはトーションラバーのスプリングを用いたダブルウイッシュボーン式。リヤサスペンションはコイルスプリングを使うセミトレーリングアーム式で、4輪独立懸架式となっていた。
ロータリーエンジンは、当時のコスモスポーツやファミリアロータリークーペが搭載した10A型ではなく、新開発の13A型。10A型は491ccのローター2つを備えたが、13A型は655ccの2ローターになる。
13A型は動力性能にも余裕があり、最高出力は126ps(6000rpm)、最大トルクは17.5kgm(3500rpm)。ファミリアロータリークーペの10A型に比べると、最高出力で26ps、最大トルクで4kgmの上乗せになった。
この13Aロータリーエンジンは、後に13B型へ発展。80〜90年代にかけて、ルーチェ、コスモ、2/3代目のRX-7などの幅広い車種に用いられた。2012年6月に生産を終えたRX-8のロータリーエンジンも、名称は13B・MSP型。内容は大きく異なるが、654ccの2ローターとするなど共通点が見られる。
美しい外観にも注目したい。ボンネットの長いスポーティなデザインで、ルーフラインは滑らかな仕上がり。センターピラー(天井を支えるボディ中央の支柱)を備えず、三角窓も装着しないため、サイドビューをスッキリと見せている。この「ピラーレスハードトップ」も、70〜80年代の流行を先取りしていた。
内装も上質で、当時のスポーティクーペでは珍しく、パワーステアリングを装備、ハンドルが重くなる前輪駆動の特性に配慮した。少量生産で終わったが、ルーチェロータリークーペは、デザイン、メカニズムともに進歩的なクルマであった。
SPECIFICATIONS(Luce Rotary Coupe 1969)
〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4585×1635×1385mm
ホイールベース:2580mm
トレッド前/後:1330/1325mm
車両重量:1185kg
乗車定員:5人
〈エンジン〉
13A型 直立2ローター
総排気量:655cc×2
圧縮比:9.1
最高出力:126ps/6000rpm
最大トルク:17.5kgm/3500rpm
〈トランスミッション〉
4MT
〈駆動方式〉
FWD
〈ステアリング型式〉
ラック&ピニオン式
〈サスペンション〉
前・ダブルウイッシュボーン式、後・セミトレーリングアーム式
〈ブレーキ〉
前・ティスク、後・リ ーディングトレーリング式ドラム
〈タイヤサイズ〉
165HR15
〈最高速度〉
190km/h
〈価格・当時〉
145.0万円(スーパーDx、東京他)
ルーチェセダン
クーペより先行して1966年に発表されたセダン。1.5ℓで登場し、後に1.8ℓもラインナップされるFRモデル。クリーンなスタイルはきわめて先進的。リヤサスはリジッド、ステアリングはボールナット式と、クーペとは違いコストも配慮したモデル。
ファミリアロータリークーペ
新世代の高性能エンジンとして登場したロータリーを、身近な存在としたのが68年に登場したファミリアロータリークーペだ。コスモスポーツが搭載するのと同じ10A型ロータリーエンジンを、ファミリアクーペボディに積む。最高出力は100ps(7000rpm)、最大トルクは13.5kgmで、メーカーが公表した最高速度は180km/hになる。東京や名古屋での店頭売り渡し価格は70万円。コスモスポーツの半額以下であった。
モーターファン別冊 その他のシリーズ 60年代国産車のすべて
「00年代国産車のすべて」「90年代国産車のすべて」「80年代国産車のすべて」「70年代国産車のすべて」と10年刻みで製作してきた雑誌ですが、こちらは60年代版。60年代とは日本車がオリジナルに目覚めた時代といってもいいでしょう。トヨタ2000GTを頂点として、いすゞ117クーペや日産スカイラインGT-R、日野コンテッサ、日産ブルーバード410,510そして2代目、3代目コロナと、様々な名が生まれたのも60年代です。これらのクルマを60年代のモーターファン誌の写真と記事をベースとして紹介しています。知らなかった事実に出会えるかもしれません。
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