トヨタ・スポーツ800(1965)驚きの軽量ボディが魅力を倍増【週刊モーターファン ・アーカイブ】
- 2021/06/24
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MotorFan編集部
最高出力がわずか45馬力の800ccながら、580kgの軽量ボディで速く走る。トヨタ・スポーツ800は、ライト・ウェイト・スポーツの醍醐味を凝縮した日本車であった。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。
解説●渡辺 陽一郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)
62年に開催された東京モーターショーには、斬新なボディを持つ1台のコンセプトカーが出品されていた。名称は「パブリカスポーツ」。スポーティクーペだが、横開き式のドアは装着されていなかった。戦闘機のキャノピーのように、サイドウインドウが一体になったルーフを後ろにスライドさせて乗り降りする方式だった。
このパブリカスポーツの市販版が、65年に登場したトヨタスポーツ800だ。さすがにスライド式のキャノピーは備わらず、横開き式のドアが採用されたが、空力特性の優れた軽量ボディというコンセプトは踏襲されている。車両重量は580kgと軽く、当時のパブリカと比べても40kg下まわる。ボディスタイルは丸みのあるデザインで、愛敬のあるフロントマスクも特徴だ。
ボディサイズは全長が3580mm、全幅は1465mmとかなり小さい。全高も今にしてみれば驚異的な1175mmに抑えた。最小回転半径は4.3mで、小回りの利きも良い。ホンダのSシリーズと並ぶ身近なスポーツカーであった。
ただし、クルマ造りはSシリーズとは対称的。トヨタスポーツ800が登場した65年にSシリーズもS600に発展したが、ツインカムエンジンの搭載で57psの最高出力を達成する一方、車両重量が715kgと重かったからだ。
トヨタスポーツ800が搭載したエンジンは、空冷方式による水平対向2気筒のOHV。当時のパブリカが採用していた排気量が697ccのタイプをベースに、内径を78mmから83mmに拡大して790ccとしている。カータータイプのツインキャブレターを装着し、最高出力は45ps(5400rpm)、最大トルクは6.8kgm(3800rpm)になる。
サスペンションはフロント側がトーションバー・スプリングを用いたダブルウイッシュボーン式。リヤ側はリーフリジッドというベーシックなタイプを採用。それでも硬めの設定が施され、運転感覚を機敏に仕上げた。
SPECIFICATIONS(Sport 800 1965)
〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:3580×1465×1175mm
ホイールベース:2000mm
トレッド前/後:1203/1160mm
車両重量:580kg
乗車定員:2人
〈エンジン〉
2U型 空冷水平対向2気筒OHV
ボア×ストローク:83.0×73.0mm
総排気量:790
圧縮比:9.0
最高出力:45ps/5400rpm
最大トルク:6.8kgm/3000rpm
燃料供給装置:ツインキャブ
〈トランスミッション〉
5MT
〈駆動方式〉
RWD
〈ステアリング型式〉
ウォーム・セクターローラー式
〈サスペンション〉
前・ウイッシュボーン式、後・リジッド
〈ブレーキ〉
前・ティスク、後・リーディングトレーリング式ドラム
〈タイヤサイズ〉
6.00-12-4PR
〈最高速度〉
155km/h
59.5万円
モーターファン別冊 その他のシリーズ 60年代国産車のすべて
「00年代国産車のすべて」「90年代国産車のすべて」「80年代国産車のすべて」「70年代国産車のすべて」と10年刻みで製作してきた雑誌ですが、こちらは60年代版。60年代とは日本車がオリジナルに目覚めた時代といってもいいでしょう。トヨタ2000GTを頂点として、いすゞ117クーペや日産スカイラインGT-R、日野コンテッサ、日産ブルーバード410,510そして2代目、3代目コロナと、様々な名が生まれたのも60年代です。これらのクルマを60年代のモーターファン誌の写真と記事をベースとして紹介しています。知らなかった事実に出会えるかもしれません。
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