スイフトスポーツは万能性の高い“大人のGTハッチ”、アルトワークスはストイックに走りの楽しさを突き詰めた“青春のホットハッチ” スズキ・スイフトスポーツvsアルトワークス試乗インプレ比較|余裕に満ちたポテンシャルを繊細に操るか、限られた性能を完全に使い切るか、それが問題だ
- 2018/04/16
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遠藤正賢
スズキはMT車の車両本体が200万円を大幅に下回りながら、本格的なスポーツ走行が楽しめるホットハッチを2車種も用意し、多くのクルマ好きから人気を集めている。それがBセグメントの「スイフトスポーツ」と、軽自動車の「アルトワークス」だ。
現行のアルトワークスは2015年12月、スイフトスポーツは17年9月に発売されており、それぞれのメカニズムは類似点が多い。だが実際に市街地や高速道路、箱根のワインディングで試乗してみると、両車の性格は見事なまでに対照的だった。
まずは両車のスペックとベース車に対するチューニングメニューから比較してみよう。ボディサイズはスイフトスポーツが全長×全幅×全高=3890×1735×1500mm、ホイールベース2450mm。
対するアルトワークスは、全長×全幅×全高=3395×1475×1500mm、ホイールベース2460mmと、全高は共通ながら全長は595mm短く、全幅は260mm狭い。しかしホイールベースは、なんとアルトワークスの方が10mm長いのだ。
プラットフォームはスケールこそ異なるものの設計思想は両車とも全く同じで、骨格のつながりをスムーズにすることで軽量高剛性化を図る「ハーテクト」を採用。スイフトスポーツは970kg、アルトワークスは670kgと、いずれもベース車に対しリヤまわりにスポット溶接打点を追加するなどボディ剛性を高めながら、1tを切る車重を実現している。
サスペンションはいずれもフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式(アルトワークスの4WD車はフルトレーリングアーム式)だ。なおダンパーは、スイフトスポーツがモンロー製、アルトワークスがKYB製の強化品を採用している。
タイヤはスイフトスポーツが195/45R17 81Wのコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5。アルトワークスが165/55R15 75Vのブリヂストン・ポテンザRE050Aで、アルミホイールもベース車よりサイズアップしながら軽量化や剛性アップを図った専用品だ。
エンジンは、スイフトスポーツのK14C型直4直噴ターボが最高出力103kW(140ps)/5500rpm、最大トルク230Nm(23.4kgm)/2500-3500rpm、アルトワークスのR06A型直3ターボは最高出力:47kW(64ps)/6000rpm 最大トルク:100Nm(10.2kgm)/3000rpmの、いずれも低回転高トルク型。ただしターボチャージャーを中心にレスポンスと絶対的なパワー・トルクを重視したセッティングが与えられており、いずれもそれぞれの車種における最強モデルに相応しい性能を備えている。
MTはいずれも、細部にまで改良の手が加えられている。スイフトスポーツは3速、アルトワークスは2速ギヤにダブルコーンシンクロを採用し、シフトノブの形状を変更してシフトレバーをショートストローク化するのみならず、シフトセレクトケーブルのフリクションを低減し、シフトレバーセレクトスプリングとシフトタワーの操作荷重を変更。ケーブルダンパーも節度感を高めるようチューニングされた。
クラッチもペダルストロークに対する伝達トルクをリニアな特性とし、コントロール性を高めながら、より重厚感のあるペダルフィールを与えている。
このように、両車のメカニズムとチューニングメニューの共通点は非常に多いのだが、その性格は全く正反対ということが、走り出すどころか運転席に座った瞬間に見えてくる。
スイフトスポーツはエクステリアと同様、室内も赤やピアノブラックの加飾パネルを多用した現代風の派手めな仕上げなのに対し、アルトワークスはこれまたエクステリアと同様、2代目アルトをベースとした最初のアルトワークス以上にレトロかつシンプルな、まさに“男の仕事場”だ。
フロントシートはいずれもサポート性を向上させたセミバケットタイプで、スイフトスポーツが自社開発品、アルトワークスはレカロ製。前者は高さ調整が可能だが後者は固定となっており、その位置が非常に高い。腰椎・頸椎とも椎間板ヘルニアを患っているためアップライトなポジションが好みの筆者(身長174cm)でもアルトワークスはヒップポイントが高く思えるほどで、またヘッドクリアランスも極めて少ないため、サーキット走行時にヘルメットを被れば天井に頭頂部が当たる可能性がある。
また乗降性に配慮したためか座面のサイドサポートが低く、コーナリング時には太股のサポートが頼りなく感じられた。一方でさすがレカロというべきか、振動吸収能力はアルトワークスの方が高く、対するスイフトスポーツは特に路面の凹みを通過する際に振動がダイレクトに身体へ伝わる印象を受けた。
ちなみに後席は両車とも、膝回りに余裕がある一方ヘッドクリアランスが不足しており、特にアルトワークスは後頭部が完全にルーフクロスメンバーに当たる。そのうえシート自体が平板なため、ドライバーにゴキゲンな走りをされれば後席の住人は全身がボロボロになることだろう。
シフトレバーを1速に入れると、アルトワークスは極めて短いストロークでソリッドな手応えを返すものの、スイフトスポーツは意外なほどストロークが長く、ギヤを入れた際の手応えも柔らかい。このあたり、日本専用のアルトワークスと、欧州が主戦場のスイフトスポーツとで、お国柄の違いが如実に表れている。どちらが好みで、またスポーツ走行時に素早くシフトチェンジしやすいかと言えば、間違いなく前者だ。
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