3代目トヨタ・ヴィッツ(P13#系)| スポーツコンバージョン車「G's」「GR」シリーズを積極的に展開 【コスパ抜群! 一世代前の狙い目モデル】三代目トヨタ・ヴィッツ(P13#系)…二度のマイナーチェンジで外観と走りの質感が劇的に進化
- 2021/05/21
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遠藤正賢
中古車は世代が古く低年式なモデルほどお買い得かと言えばさにあらず。生産終了から年月が経つにつれ残存台数が減り、希少価値が上がることで相場が高騰することは珍しくない。
また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2010年12月に発売されたトヨタのBセグメントハッチバック「ヴィッツ」の三代目をご紹介しよう。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●トヨタ自動車
モデル末期のトヨタ・ヴィッツGRは“買い”か“待ち”か? 二度の大幅改良とGRチューンをもってしても「80点主義」からの脱却ならず。TNGA採用の新型を“待ち”たい
どれほど技術が進化しても、法規や市場環境の変化など様々な要因が影響するため、最新のモデルが最良とは限らないのが、クル...
過去の試乗記事でも述べているが、2010年12月に発売されたこの三代目ヴィッツは、目立った欠点もなければ際立った長所もない、良くも悪くもトヨタ車らしい「80点主義」的なクルマである。
国産車に絞って競合車と比較しても、居住性とユーティリティでは歴代ホンダ・フィット(2001年6月~)、走りでは二代目以降のスズキ・スイフト(2004年11月~)が勝っており、三代目ヴィッツはどちらもさほど重視しない人が選ぶ“無難な選択肢”という傾向が、特にデビュー当初の前期型は顕著だった。
しかしながら、2014年4月(中期型)と2017年1月(後期型)の二度にわたる大規模なマイナーチェンジによって、エクステリアが大胆に変化。さらにボディ・シャシー性能が大幅に強化されたことで、走りの質感が劇的に改善された。
なお後期型では、姉妹車のアクアやカローラアクシオ/フィールダーより4年以上遅れてようやく、1.5Lハイブリッド車が追加されている。
また、トヨタガズーレーシングが開発を手掛けるスポーツコンバージョンモデル「G's」および「GR」シリーズを積極的に展開。加えてワンメイクレースやラリーなどモータースポーツのベース車としても、ヴィッツは重要な役割を果たしている。
では、そんな三代目ヴィッツがどのように進化していったのか、モデルの変遷を以下に記す(価格はいずれも発表時点のもの(当時の税率における消費税込み))。
【2010年12月22日発表・発売】フルモデルチェンジ
グレード構成および価格は下記の通り。
「F」はコストパフォーマンスを重視した、「U」は快適装備を充実させたグレード。「ジュエラ」は専用のボディカラーや内装色、メッキ&シルバー加飾(後者はオプションの「シルバーデコレーション」)で質感を高めた新モデルで、「RS」は専用バンパー・ルーフスポイラーやスポーツシートなどを装着し5速MTも設定するスポーティ仕様となっている。
<1.0L直3(1KR-FE)搭載モデル>
F“Mパッケージ”(FF・CVT)…106万円
F(FF・CVT)…119万5000円
ジュエラ(FF・CVT)…126万5000円
<1.3L直4(1NR-FE)搭載モデル>
F(FF・CVT)…129万円
F(4WD・CVT)…147万9000円
F“スマートストップパッケージ”(FF・CVT)…135万円
ジュエラ(FF・CVT)…136万円
ジュエラ(4WD・CVT)…154万9000円
U(FF・CVT)…150万円
U(4WD・CVT)…168万9000円
<1.5L直4(1NZ-FE)搭載モデル>
U(FF・CVT)…160万円
RS“Cパッケージ”(FF・CVT)…160万円
RS(FF・5MT)…172万円
RS(FF・CVT)…179万円
【2011年9月6日発表・9月24日発売(「G's」は10月3日発売)】追加モデル
アイドリングストップ機能を搭載する「スマートストップパッケージ」を「U」および「ジュエラ」の1.3L・FF車に追加。
また「ジュエラ」に、「シルバーデコレーション」限定ボディカラーとしてイエロー、カッパーメタリック、スカイブルーマイカメタリックを設定した。
さらに、「RS」をベースとしたスポーツコンバージョン車「Gスポーツ(通称G's(ジーズ))」を追加した。
専用前後バンパーやフロントグリルで床下の整流効果を高めたほか、軽量・高剛性17インチアルミホイール&高性能タイヤ、専用チューニングサスペンション、大型マフラーを装着。パフォーマンスロッドや溶接スポット点数増加でボディ剛性を高め、専用スポーツブレーキパッドをオプション設定することで、走行性能を高めている。
インテリアも、G'sロゴ入り専用シート表皮やレッドステッチ入りステアリングホイール&シフトレバー、カーボン調加飾、アルミ製ペダル(5MT車のみ)などを与えることで、スポーティ感を演出している。
追加モデルの価格は下記の通り。
U“スマートストップパッケージ”(1.3L、FF・CVT)…156万円
ジュエラ“スマートストップパッケージ”(1.3L、FF・CVT)…142万円
G's(1.5L、FF・5MT/CVT)…189万円
【2012年5月9日発表・発売】一部改良、特別仕様車
「F」以外のセンターレジスターノブにメッキ加飾を追加したほか、「F」と「ジュエラ」のメーターにシルバー加飾を追加。また、「ジュエラ」の「シルバーデコレーション」限定ボディカラーとして、新色のグレイッシュブルーマイカメタリックとオレンジマイカメタリックを設定した。
特別仕様車「スマイルエディション」は「F」をベースに、スマートエントリー&スタートシステム、スーパーUVカットガラス(フロントドア)、イモビライザー、助手席シートアンダートレイ、買い物アシストシート(助手席)、オートエアコン(1.3L車のみ)などを採用し、快適性を高めている。
ボディカラーは特別色のライトパープルマイカメタリックを含む全6色を設定。シート表皮色に専用のダークグレーを設定したほか、メッキ加飾シフトレバーや高輝度シルバー塗装入りステアリングホイールなどを採用して、内装の質感を高めている。
グレード構成および価格は下記の通り。
<1.0L直3(1KR-FE)搭載モデル>
F“Mパッケージ”(FF・CVT)…107万円
F(FF・CVT)…120万5000円
F“スマイルエディション”(FF・CVT)…125万5000円
ジュエラ(FF・CVT)…127万5000円
<1.3L直4(1NR-FE)搭載モデル>
F(FF・CVT)…130万円
F(4WD・CVT)…148万9000円
F“スマイルエディション”(FF・CVT)…137万5000円
F“スマイルエディション”(4WD・CVT)…156万4000円
F“スマートストップパッケージ”(FF・CVT)…136万円
F“スマートストップパッケージ・スマイルエディション”(FF・CVT)…143万5000円
ジュエラ(FF・CVT)…137万円
ジュエラ(4WD・CVT)…155万9000円
U(FF・CVT)…151万円
U(4WD・CVT)…169万9000円
<1.5L直4(1NZ-FE)搭載モデル>
U(FF・CVT)…161万円
RS“Cパッケージ”(FF・CVT)…161万円
RS(FF・5MT)…173万円
RS(FF・CVT)…180万円
G's(FF・5MT/CVT)…189万円
【2012年12月5日発表・発売】特別仕様車
「F」をベースとした「シエル」を設定。
内装色はブラックとベージュの2種類があり、ブラック内装にはピンクベージュ、ベージュ内装にはピアノブラックの加飾を採用。またいずれにも内装色と同色のスエード調シート表皮を与えている。
ボディカラーは特別設定色のボルドーマイカメタリック、シルキーゴールドマイカメタリック、ダークブルーマイカ、ダークブラウンマイカメタリックを含む全6色。
さらに、ボディ同色フロントグリル、専用リヤエンブレム、IRカット機能付きスーパーUVカットガラス(フロントドア)やオートエアコン(1.3L車のみ)、スマートエントリー&スタートシステムなどを標準装備し、内外装の質感と快適性を高めている。
グレード構成および価格は下記の通り。
F“シエル”(1.0L、FF・CVT)…136万円
F“シエル”(1.3L、FF・CVT)…148万円
F“シエル”(1.3L、4WD・CVT)…166万9000円
F“スマートストップパッケージ・シエル”(1.3L、FF・CVT)…154万円
【2013年8月7日発表・9月下旬発売】特別仕様車
日本未導入の3ドア車をベースにトヨタガズーレーシングがトータルチューンを施したスポーツコンバージョン車「GRMNターボ」(5MTのみ、270万円)を200台限定で発売。8月25日より先着順でWeb限定の商談申込受付を開始した。
1NZ-FE型1.5L直4エンジンにターボを装着し152psと206Nmを発生。それに合わせて215/45R17タイヤ&BBS製アルミホイールや対向4ポットフロントブレーキキャリパーを採用するなど、足回り・ブレーキ・ボディ・駆動系を強化している。
また、専用のヘッドランプやフロントバンパー、リヤスポイラー、スポーツシート、メーター、本革巻きステアリングホイールなどを装着し、一般道からサーキット走行まで幅広く走りを楽しめるモデルとした。
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