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ロータリーエンジンは「主流になれなかったエンジン」ではない ロータリーエンジンの可能性 最終回

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2001年のNAIAS(北米国際自動車ショー=通称デトロイト・ショー)で披露された量産型RX-8。手前は当時のマツダCEO(最高経営責任者)マーク・フィールズ氏。(筆者撮影)

 レシプロエンジンならば、世界じゅうで何万人というエンジニアが携わり、膨大な開発費が投じられ、どんどんと新技術が生まれるのだが、REはそうはいかない。これがREにとっての不幸である。自動車用REの研究論文はマツダからしか出ない。部品メーカーが新技術を提案してくることもない。そうした状況を考えると、マツダが2012年6月までRE搭載車を生産し続けたこと自体が、ある種の奇跡のようにも思えてくる。

 マツダは2012年までに累計で200万基以上のREを生産した。ただし、マツダが次期REとして2007年に技術発表した16X型は開発が中断された。その後の取材で「16Xは白紙撤回したが、REをやめるわけではない」と伺い期待していたが、2018年に開発が発表されたREはレンジエクステンダーEV用の発電エンジンだった。直に車輪を駆動するREではなかった。

 過去にマツダがREを存続させたことが、マツダの経営にどれくらい貢献したかを正確に言い表すことはできない。しかし、無形財産を残したことは間違いない。その大半は、REの研究や設計、実験、生産に携わった「人」である。いまでもマツダには「REをやりたい」という志望動機の学生が来るという。レンジエクステンダーでの再来はじつに楽しみである。

 REは、決して「主流になれなかったエンジン」ではない。まだ研究開発は緒についたばかりなのである。だからこそ、小さなステップアップと大きなジャンプとが、交互にやってくる。将来、主流になれるチャンスはまだまだある。それは、もしかしたら自動車が化石燃料と決別しなければならないときかもしれないが、いずれにしてもREの躍進は現在進行形だと筆者は考える。自動車エンジンがレシプロだけに占有されてしまうというのも、味気ないことだ。レシプロにとって脅威となるREの登場に、私は大きな期待を寄せている。

 ライバルは小型ガスタービンや対向ピストンの発電用エンジンかもしれない。燃料は水素かもしれない。そんな期待を抱いている。

この日、NAIASのマツダブースは終日賑わった。赤いジャケットがチーフデザイナーの佐藤洋一氏。現在もそうだが、マツダ車のスタイリング(デザイン)には担当したチーフデザイナーの顔が浮かぶ。(筆者撮影)

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