【ルノー・ルーテシア vs プジョー208 vs フォルクスワーゲン・ポロ】最新の欧州Bセグメント・ハッチバックを徹底比較!
- 2020/12/29
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ニューモデル速報 小泉 建治
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ボディサイズはほとんど同じですが……
ルノー・ルーテシア
プジョー208
フォルクスワーゲン・ポロ
インテリアは百花繚乱
ルノー・ルーテシア
プジョー208
フォルクスワーゲン・ポロ
ラゲッジスペースはルーテシアが最大!
ルノー・ルーテシア
プジョー208
フォルクスワーゲン・ポロ
エンジンは名機が勢揃い
ルノー・ルーテシア
プジョー208
フォルクスワーゲン・ポロ
クラスを超えた上質な走り──ルーテシア
フランス車らしい軽快な身のこなし──208
力強さと安心感──ポロ
クラスを超えた上質な走り──ルーテシア
まずはルーテシアで走り出します。最初に感じるのが、走り出しの力強さです。低回転域のトルクがかなり太いので、アクセルを強く踏み込むと、グワッと巨人に背中を押されるように加速します。7速DCTのマナーはどちらかというと滑らかさ重視で、街中でもショックを感じることはほとんどありません。
そして最もBセグメントらしからぬ頼もしさを感じたのが、高速道路のETCレーンでの再加速時です。止まりそうなくらいの速度まで落とした直後にすぐさま加速する、というのは、実は小排気量ターボ車が苦手とするシーンのひとつ。どうしても一呼吸置いてからの加速になってしまいがちなのですが、ルーテシアは豊かなトルクとDCTの巧みな制御によって、そんなタイムラグを発生させません。
静粛性の高さも見逃せません。明らかにCセグメントを越え、ふたクラス上のDセグメントのサルーンに乗っているかのようです。ねっとりと背中にフィットするシートの座り心地の良さもたまりません。
ルノー・ルーテシア インテンス
■全長×全幅×全高:4075mm×1725mm×1470mm
■ホイールベース:2585mm
■車重:1200kg
■エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
■排気量:1333cc
■圧縮比:9.6
■最高出力:131ps(96kW)/5000pm
■最大トルク:240Nm/1600rpm
■トランスミッション:7速DCT
■燃料タンク容量:42ℓ
■サスペンション:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトーションビーム
■駆動方式:FF
■タイヤサイズ:205/45R17
■燃費:WLTCモード 17.0km/ℓ
市街地モード12.7km/ℓ
郊外モード:17.2km/ℓ
高速道路:19.8km/ℓ
■車両本体価格:256万9000円
フランス車らしい軽快な身のこなし──208
続いて208です。こちらも走り出しから落ち着き払った振る舞いを見せ、C~Dセグメント級の上質な走りを味わえます。ルーテシアも208もこれだけのクオリティを実現しているということは、つまりはこれが今後のBセグメントの基準になるということでしょうか。
この3台の中では唯一の3気筒エンジンですが、振動や音などにおいてネガティブな要素はまったく感じさせません。走り出しの力強さという点ではルーテシアに一歩譲りますが、そこはライバルよりも1段多い8速ATで見事にカバーし、ドライバビリティに不満は覚えません。
そしてなにより208の魅力は、ワインディングロードに持ち込んだときの快活なハンドリングです。それまでの大人っぽさがウソのように、いわゆるラテンのホットハッチらしい俊敏な身のこなしで、明らかに3気筒ならではの鼻先の軽さが活きています。i-Cockpitの小径ステアリングも貢献しているのかもしれません。
プジョー208 GT Line
■全長×全幅×全高:4095mm×1745mm×1465mm
■ホイールベース:2540mm
■車重:1170kg
■エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
■排気量:1199cc
■圧縮比:10.5
■最高出力:100ps(74kW)/5500pm
■最大トルク:205Nm/1750rpm
■トランスミッション:8速AT
■燃料タンク容量:44ℓ
■サスペンション:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトーションビーム
■駆動方式:FF
■タイヤサイズ:205/45R17
■燃費:WLTCモード 17.0km/ℓ
市街地モード13.0km/ℓ
郊外モード:17.3km/ℓ
高速道路:19.3km/ℓ
■車両本体価格:293万円
力強さと安心感──ポロ
最後にポロです。今回の試乗車は上位モデルのTSI R-Lineでして、スタンダードよりも最高出力が55psも高いエンジンを搭載していました。価格もルーテシアや208より40~80万円ほど高く、スペック面では有利だったことを考慮するべきでしょう。
ただし本記事での試乗では高回転域を多用するような走りはしていないため、最高出力の違いを顕著に感じる場面は実はそれほどなく、日常使いにおける加速の力強さでは最大トルクの近いルーテシアに似た感覚でした。
もちろんトップエンドまで引っ張るような攻めの走りを楽しむのであれば、ポロTSI R-Lineのアドバンテージは明らかになるでしょう。
最新のプラットフォームを持つフランス勢の2台と比べると、少し細かな振動が乗員に伝わりやすいかなという感じはしますが、問題になるほどのレベルではありません。
7速DCTはかつてのような唐突感もなく、それでいてダイレクト感に溢れ、さすがはDCTの先駆者だと唸らされます。
フォルクスワーゲン・ポロ TSI R-Line
■全長×全幅×全高:4075mm×1750mm×1450mm
■ホイールベース:2550mm
■車重:1210kg
■エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
■排気量:1497cc
■圧縮比:10.5
■最高出力:150ps(110kW)/5000-6000pm
■最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
■トランスミッション:7速DCT
■燃料タンク容量:40ℓ
■サスペンション:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトレーリングアーム
■駆動方式:FF
■タイヤサイズ:215/45R17
■燃費:JC08モード 17.8km/ℓ
■車両本体価格:334万円
こうして3台を乗り比べてみると、確かにどれも甲乙付けがたい完成度なのですが、明らかにそれぞれキャラクターが異なっていることがわかります。
速さと快適性を高次元で両立させたルーテシア、上質感とフランス車らしいハンドリングが共存する208、力強さと安心感のポロ、といったところでしょうか。
また、かつてはADAS(先進運転支援技術)に関してはドイツ勢が頭ひとつ以上抜き出ていましたが、ここへきてフランス勢も一気に世界トップレベルに躍り出てきました。
いずれにせよ、この3台が世界のBセグメントを牽引する存在であることは間違いなく、運動パフォーマンス面でも装備面でも大きな欠点など見当たりません。
ということは、いささか乱暴な結論かもしれませんが、「デザインの好み」で選んでしまっても実は問題はないのかもしれません。
サイズやコストに大きな制限がありながら、走行性能にも居住空間にも高いレベルが要求され、世界的に激しいセールス競争が展開されているBセグメント・ハッチバックは、自動車という商品の中でも最もレベルの高い開発能力が要求されるカテゴリーと言っていいでしょう。
そんななかでも圧倒的な人気を誇るルーテシアと208とポロ。みなさんもじっくり比べて、できればちゃんと試乗もして、自分にぴったりの一台を選んでいただきたいものです。
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