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ZFがトヨタC-HRに組み込んだ「周波数感応式ダンパー」ってなんだ? 「ZF VISION ZERO DAYS」の注目技術 PR

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ZFの最新ダンパー、SDC3を組み込んだトヨタC-HR。ノーマル(もZF製ダンパーが採用されている)車との比較ができた

ドイツのメガサプライヤー、ZFはCASE時代に全方位で対応できる技術ポートフォリオを持っている。同社が注力する4分野はビークル・モーション・コントロール/自動運転/統合安全/電動化である。得意とするトランスミッション、サスペンション、ステアリング技術はもちろん、センシング、電動化技術も一流だ。そのZFが最新技術を日本の自動車メーカーの技術者、我々報道陣に披露した「ZF VISION ZERO DAYS」。今回はドイツ本国から持ってきた技術だけでなく、ZFジャパンが仕立てた開発車両も用意されていた。ここでは、その開発車両に搭載された注目技術を紹介する。
TEXT◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi/MFi)

5日間にわたって行われた「ZF VISION ZERO DAYS」。最新技術(開発中も含む)を搭載した数多くの開発車両に試乗することができた。

 11月下旬、富士スピードウェイに巨大なテントを設えて5日間にわたって開催された「ZF VISION ZERO DAYS」。我々メディアが取材した最終日はあいにくの悪天候だったが、その前に国内自動車メーカー9社から250名が参加し、ZFの最新テクノロジーを体感した。このイベントに賭けるZFのエネルギーを示すかのように、ドイツ本国などから開発車両が多数輸送され、エンジニアも来日していた。もちろん試作品を含むコンポーネントが多数展示されていた。見るだけなく、ショートサーキットや公道で試乗もできた。
 今回の目玉のひとつは、Innovation Vehicleと呼ばれる、ZFの技術満載の開発車両だ。じつは筆者は今年6月にドイツで開催されたZFのイベントでも多くの車両に試乗したのだが、このInnovation Vehicleだけには乗れていなかったので、今回のイベントを楽しみにしていたのだ。
 車両の動きを可能な限り制御することで、セーフティ、ハンドリング、コンフォートといった部分へのアプローチはもちろん、ダイナミクス(運動性)との関連をイメージしにくいCO2削減までさまざなまトライができることをこのクルマは示していた。 
 また、ドイツ本社ではなくZFジャパンが仕立てた開発車両(スズキ・スペーシアベースの運転支援、SDC3ダンパーを組み込んだトヨタC-HRなど)も注目に値するものだった。自動運転、電動化という大きな技術トレンドのなかでZFがトップランナーでいることを実感。同社が日本市場にかける「本気度」が見えたという意味でも興味深い一日だった。

 本稿では、ZFの最新ダンパー、SDC3ダンパーについてレポートする。

ZFジャパン、自動運転や電動化に向けた先端技術・製品を公開

ZFジャパンは、日本の自動車メーカー向けに同社の最新技術に関するデモンストレーションを富士スピードウェイで行った。

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SDC3 Frequency Selective Damping Control:周波数感応式ダンパーの可能性

ZFの最新ダンパー、SDC3
緑の部分がSDC3ピストン。コンベのタイプに追加してロッドに設けられた溝からピストンへ油圧を通す。低周波域のときにのみ油圧が上がることで減衰力をコントロールする。ケースはコンベタイプと共用できるので、車両のグレードによってダンパーを変えることも可能。

ゼット・エフ・ジャパンのシャシーエンジニアである滝沢 良氏。自動車メーカーとともにダンパーのチューニングを担当している。SDC3はチューニング範囲が広く、ハンドリングとコンフォートを高次元で両立できるダンパーだという。
 今回、ZFがトヨタC-HRに組み込んだ「SDC(Selective Damping Control)3」は周波数感応式ダンパーである。SDC3の狙いについてZFジャパンの滝沢良氏に訊いた。

滝沢氏「 SDC3はコンベンショナルなダンパーとしてはZFの最新のものです。現在開発中で、数年のうちには市販車に載ります。従来のSDC2は振幅で減衰力をコントロールするタイプのダンパーだったのに対してSDC3は周波数感応式です。言い換えると、SDC2がよりストロークに依存するダンパーで、SDC3がより周波数に依存するダンパーということになります」

従来あったSDC2が振幅(Amplitude)で減衰力をコントロールするのに対して、SDC3は周波数(Frequency)感応式。高周波の入力があったときに、リバウンド側の減衰力を低くコントロールすることで、ばね下の動きをボディに伝えないようして乗り心地を改善できる。
Q:周波数に依存するというのは、どういうことでしょうか?

滝沢氏「周波数依存というのは、高周波入力があったときに減衰力を変えるということです。高周波入力がある状況とは、石畳や砂利道のように連続した入力があってダンパーの伸びと縮みの切り替えが速い場合のことです。この時、周波数感応式でないと、より多くの路面からの入力をボディ(ばね上)に伝達してしまう。SDC3ではこういうシチュエーションで、リバウンド側の減衰力を低くコントロールすることで、タイヤホイールの振動をボディから遮断して落ち着かせることができます。また、ロール等の低周波入力時は高い減衰力を発生することで、車両応答性能を確保したチューニングができるのです」

テスト車はトヨタC-HR。市販車のダンパーもZF製が採用されている(左)。乗り比べたが、普通の路面では市販車でもいい乗り味だがマンホールの乗り越え、連続する轍などではSDC3を装着したクルマ(右)の方が乗り心地がよかった。滝沢氏によると「今回の車両は、基準車のハンドリング、スタビリティを可能な限りキープした状態でライドコンフォートの改善をしたものが今回のデモカーです」とのことだった。

Q:SDC3は、いわゆる電子制御ダンパーとは違うのでしょうか?

滝沢氏「SDC3は電子デバイスなしで独自でコントロールできるメカニカルなダンパーです。電子制御ダンパーはハードウェアも高価ですが、付属するソフトウェア開発が必要なのでどうしても高価になってしまいます。SDC3は、メカニカルなダンパーなので、その点でも競争力があります。また、モノチューブにもツインチューブにも対応できます。コンベンショナルなダンパーと同じケースを使えるので、エントリーグレードはコンベのダンパー、上級グレードはSDC3を使うというように、同じモデルでもグレードでダンパーを分けて設定することもできます。SDC3はより多くの車両に適応できるように開発しています。一般にダンパーのチューニングはライドコンフォート(乗り心地)とハンドリング(とセーフティ)という相反する性能の二者択一になります。SDC3はこの二者をより高いレベルで両立させられるダンパーなのです」

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