〈新たなライバル関係のGRヤリスとシビック タイプR〉エンジンの性格は意外にも相似形だが、それを御する術が大きく異なる 【トヨタGRヤリスvsホンダ・シビックタイプR】サイズ&エンジン比較から見える走りのキャラクターの違いは?
- 2020/03/18
-
遠藤正賢
トヨタの豊田章男社長自らが開発の命を下した、次期WRカーのベースとなるホモロゲーションモデル「GRヤリス」。ホンダ創業以来のレーシングスピリットを象徴するとともに、サーキットでの速さを徹底的に追求した「タイプR」の最新モデル「シビックタイプR」。日本を代表するスーパーホットハッチ2台の、スペックやメカニズムを比較してみよう。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●トヨタ自動車/本田技研工業
トヨタGRヤリス 全長×全幅×全高:3995×1805×1460mm ホイールベース:2558mm トレッド前/後:1530/1560mm
ホンダ・シビックタイプR 全長×全幅×全高:4560×1875×1435mm ホイールベース:2700mm トレッド前/後:1600/1595mm
GRヤリスはBセグメントに属しており主戦場はWRC、シビックRはCセグメントに属しており主戦場はニュルブルクリンクや国際規格のサーキット。そうした生まれの違いはボディサイズにも明確に現れている。
公道を舞台にするWRCで長いボディはタイトコーナーでの旋回性能に不利に働く傾向にあるため、GRヤリスは全長4m以下のコンパクトな3ドアハッチバックとされている。その一方でホイールベースは2558mmと長く、前後オーバーハングは最小限。このあたりは、超高速域での空力や操縦安定性よりも、ヨー慣性モーメントと大ジャンプ時のクラッシュリスクの低減を図ったものと推察される。
対するシビックRは、超高速域での旋回性能を重視して、全長は4.5mを超え全幅も1.9mに迫る勢い。だがホイールベースは2700mmと極端に長くはなく、また前後オーバーハングも短すぎず、ダウンフォース獲得と直進安定性の確保を狙っているのがうかがえる。
GRヤリス用G16E-GTS型エンジン 形式:直列3気筒DOHC直噴&ポート噴射ターボ ボア×ストローク:87.5×89.7mm 総排気量:1618cc 圧縮比:10.5 最高出力:200kW(272ps) 最大トルク:370Nm(37.7kgm)
シビックR用K20C型エンジン 形式:直列4気筒DOHCポート噴射ターボ ボア×ストローク:86.0×85.9mm 総排気量:1995cc 圧縮比:9.8 最高出力:235kW(320ps)/6500rpm 最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2500-4500rpm
GRヤリス用G16E-GTSは既存のエンジンをベースとしておらず、GRヤリスのために新規開発されたことは既報の通り。
トヨタGRヤリスのエンジンは化け物レベル!GR4のためだけに仕立てた、その名は「G16E-GTS」
東京オートサロン2020でお披露目となったトヨタGRヤリス。3気筒の1.6ℓという形式はこれまでのトヨタにはないものだったので、...
ここまでわかったトヨタGRヤリス、新開発の直3DOHCターボG16E-GTS型はなぜ空冷インタークーラーなのか?
東京オートサロンでワールドプレミアされたトヨタの新4WDスポーツ、GRヤリス。新しい4WDシステムや新開発プラットフォーム&...
カタログなどに掲載されている性能曲線図を見ると、G16E-GTSのトルクピーク370Nmは3000-4500rpm付近。ピークパワーの272psは6500rpm付近にあり、タイトなヘアピンコーナーを素早く立ち上がれるような特性を与えていることがうかがえる。
シビックRのK20Cは最大トルク400Nmを2500-4500rpmで発揮。最高出力320psを叩き出すのは6500rpmと、そのトルク・出力特性はG16E-GTSに近い。
シビックRのK20Cは現代の直噴ターボエンジンとしては非常にターボラグが大きく、駆動方式もFFのため、低いギヤでタイトコーナーを立ち上がる際、ブーストがかかった瞬間にホイールスピンを起こしやすい傾向にある。
シビックRは2020年モデルのマイナーチェンジで、K20Cのこうした獰猛な性格を、エンジンそのものを矯正するのではなく、シャシーのロードホールディング性能を高めることで、いさめて手の内に収めようとしている。
さらに熱く! 速く! こだわり尽くしたホンダ新型シビックタイプR、夏に登場!世界限定1000台(日本200台)の Limited Editionも今秋に!進化のポイントは?
ホンダ・シビックタイプRがマイナーチェンジを受け、より熱く、より速くなってこの夏登場する。世界でもトップを争うホット・...
タイプRは進化し続ける! ホンダ 新型シビックタイプR 発表!シフトノブ、ステアリング、ボディカラーにも開発責任者の想いが詰まっている!
ホンダのレーシングスピリットが不安視される昨今、それを払拭するような想いのこもった車両が発表された。シビックタイプRだ...
それに対してGRヤリスは、GRヤリス専用のJTEKT製ITCC(Intelligent Torque Controlled Coupling)を用いた電子制御4WDシステム「GR-FOUR」で、G16E-GTSの272ps&370Nmを走る・曲がる・止まるのすべてにおいて、余す所なく使い切ろうとしているのだ。
誰でも簡単にドリフト!? 異例の前後駆動力配分を持つトヨタGRヤリスのAWDシステムGR-FOURとは?
オンデマンド式なのにフロント30:リヤ70の駆動配分? 機械の構造からはどうなっているのかが理解できない数字である。果た...
ここまでわかったトヨタGRヤリス、電子制御カップリングは、ジェイテクトのITCCを使う。トルセンはTypeB
東京オートサロンでワールドプレミアされたトヨタの新4WDスポーツ、GRヤリス。新しい4WDシステムや新開発プラットフォーム&...
似て非なるこのスーパーホットハッチ2台が、果たして実際にどのような走りを見せてくれるのか、今夏の正式デビューを楽しみに待ちたい。
”進化を止めない”スポーツカーの矜持 ホンダ・シビックタイプRのテクノロジー
2017年7月に発表されたシビックTYPE Rが登場3年目となる今夏、マイナーチェンジを受けて発売される。日本のみならず欧州、北...
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア
東証プライム上場、トヨタ系列の内装部品システムメーカー
車室内NV性能の企画とアイテム開発
年収
450万円〜800万円
勤務地 愛知県豊田市愛知県豊田市に配属予定です
この求人を詳しく見る
東証プライム上場、トヨタ系列の内装部品システムメーカー
先進技術開発<モデルベース開発・次世代シート開発>
年収
450万円〜800万円
勤務地 愛知県豊田市猿投工場に配属予定です。
この求人を詳しく見る
東証プライム上場、トヨタ系列の内装部品システムメーカー 車室内NV性能の企画とアイテム開発
年収 | 450万円〜800万円 |
---|---|
勤務地 | 愛知県豊田市愛知県豊田市に配属予定です |
東証プライム上場、トヨタ系列の内装部品システムメーカー 先進技術開発<モデルベース開発・次世代シート開発>
年収 | 450万円〜800万円 |
---|---|
勤務地 | 愛知県豊田市猿投工場に配属予定です。 |
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー