マツダ・コスモスポーツ(1967) あのロータリーエンジンを初めて搭載した伝説のスポーツカー「週刊モーターファン・アーカイブ/マツダ100周年特集」
- 2020/07/16
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渡辺 陽一郎
クルマ好きにとっては、マツダといえばロータリーエンジン。その最初を飾ったのがコスモスポーツだった。低く構えたボディを含め、すべてが新鮮に感じられるクルマであった。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していきます。今週も先週に引き続き、マツダ100周年特集!1967年に発売された伝説のスポーツカー、コスモスポーツを紹介します。
解説●渡辺陽一郎(60年代国産車のすべて より)
どこから見ても日本オリジナルスポーツカー
マツダならではの技術といえばロータリーエンジン。これを最初に搭載したのがコスモスポーツであった。東洋工業(現在のマツダ)がNSUバンケル社からロータリーエンジンを開発する権利を買い受け、商品化に向けて着手したのが61年。軽自動車のR360で乗用車生産を開始した頃だ。
その後、連続する苦難を乗り越えながらロータリーエンジンを開発。64年の東京モーターショーでコスモスポーツのプロトタイプを披露したが、市販されたのは67年であった。6年におよぶ開発期間を要している。
まさに満を持しての発売。クルマ好きの注目を大いに集めた。
日本ってすごい、を象徴する新エンジンの誕生
搭載されたエンジンは10A型で、491ccのロータリーユニットを2機備える。最高出力は110ps/7000rpm、最大トルクは13.3kgm/3500rpm。当時の1.6ℓエンジンを積んだスポーティカーと同等の数値だ。
それでも車両重量は、軽量かつコンパクトなロータリーエンジンの特徴を生かして940kgに収まる。メーカーの公表した最高速度は185km/hで、スポーツカーに相応しい性能を誇った。
翌年には早くもマイナーチェンジを実施。最高出力を18ps上乗せして128ps/7000rpm、最大トルクは1.1kgm向上して14.2kgm/5000rpmになる。最高速度も200km/hまで高められた。
コスモスポーツが注目された背景には、ロータリーエンジンを象徴する先進的な外観デザインもあっただろう。ポディサイズは、67年に発売された前期型で全長が4140mm、全幅は1595mm。かなりコンパクトだが、全高を1165mmと低く抑えたから流麗な印象だ。ひときわ大きく見えるヘッドランプを備えたフロントマスクも個性的。その外観は、ほかのどのクルマにも似ていない。
インパネはいかにもスポーツカーらしい直線基調のデザイン。大径のスピード/タコメーターが装着され、電流計や油温計も備わっていた。バケットタイプのシートを含め、スポーツカーらしさは濃厚だ。
コスモスポーツの外観は、街中でもひときわ目立った。ちなみに筆者の通学路に面していた屋根付きの駐車場にも、コスモスポーツがいつも収まっていて、その美しいシルエットは今でもハッキリと記憶されている。
第11回東京モーターショーの展示モデル
こちらは市販前のショーモデル。1964年の東京モーターショーに出品されたモデルだが、こうして雑誌の公道テストに供された。実はその前年にも東京モーターショーにはエンジンが展示されたが、会場にはそのエンジンを搭載したコスモの実験用モデルに松田社長(当時)自らがステアリングを握って乗り込んだ、というエピソードもあった。エンジンは既に回っていたが、耐久性とコストのブレークスルーに時間が費やされた。
コスモスポーツから始まったロータリーの技術はその後、多くのモデルに受け継がれている。
モーターファン別冊 その他のシリーズ 60年代国産車のすべて
「00年代国産車のすべて」「90年代国産車のすべて」「80年代国産車のすべて」「70年代国産車のすべて」と10年刻みで製作してきた雑誌ですが、いよいよ60年代版の刊行です。60年代とは日本車がオリジナルに目覚めた時代といってもいいでしょう。トヨタ2000GTを頂点として、いすゞ117クーペや日産スカイラインGT-R、日野コンテッサ、日産ブルーバード410,510そして2代目、3代目コロナと、様々な名が生まれたのも60年代です。これらのクルマを60年代のモーターファン誌の写真と記事をベースとして紹介しています。知らなかった事実に出会えるかもしれません。
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