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オーナー目線で勝手にインプレッション 連載第4回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』自分のクルマなのに試しに走る

  • 2018/06/24
  • MotorFanアーカイブ編集部 山口 尚志
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 6月18日、新型ジムニーのティザーページがスズキサイト内で始まったと同時に、ディーラーでの予約受付も始まった。
「つまらないクルマ」が全盛の昨今、発表前からこれほど話題になるクルマは稀だ。
 本ページはといえば、もはや旧型になったシエラが主題なのに、まだしばらく続く気配。
 仮ながら登場した真打ち! そのせいでこちらのアクセス数も頭打ち?
 ・・・などということを恐れもせず、何のためらいもなくJB43W型シエラの話は続く。

TEXT●山口尚志(YAMAGUCHI Hisashi)
PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji):ジムニーJB23W ランドベンチャー(2015年撮影)
     山口尚志(YAMAGUCHI Hisashi):ジムニーシエラJB43W
    

前回:第3回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』それほど待ちに待たなかった納車の日・たった5分の納車レクチャー

■ジムニーシエラ ボディ寸法             ●全長×全幅×全高:3600×1600×1705mm ●室内長×幅×高:1685×1220×1210mm ●ホイールベース:2250mm ●トレッド 前/後:1355/1365mm ●最低地上高:190mm ●車両重量:1070kg(4AT車) ●乗車定員:4名 ●最小回転半径:4.9m ●タイヤ:205/70R15 95S
■ジムニー ランドベンチャー ボディ寸法           ●全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm ●室内長×幅×高:1685×1220×1210mm ●ホイールベース:2250mm ●トレッド 前/後:1265/1275mm ●最低地上高:200mm ●車両重量:990kg(4AT車) ●乗車定員:4名 ●最小回転半径:4.8m ●タイヤ:175/80R16 91Q

 
 「試乗記を書け」という依頼だったのに、そこに行きつく前に新型ジムニーの姿が露わになってしまった。

 新型ジムニーについては、本モーターファンJPの中で遠藤正賢さんが書いている。

「7月発表! 新型四代目スズキ・ジムニーは伝統のメカニズムを継承しながら内外装は二代目に先祖返り」

 
 遠藤さんの記事タイトルどおり、新型は二代目に回帰したデザインだが、部分的には初代のモチーフもちらほら散見されるようにも見える。

 詳細はあらためてそちらをご覧いただくことにして・・・

 私たちモーターファン・アーカイブ編集部が、3年前の2015年7月に「歴代ジムニーすべて」を刊行したのは「第1回」で述べたとおり。

 ここから先は、「歴代ジムニー」の取材中に乗った軽ジムニーに触れながら、納車シエラ乗り始め段階に気づいた点だけ、項目のつまみ上げで感想を述べていきたい。
 
 ・・・当初の依頼を仮の形ながら、ようやく第4回で実現。

 でもいいのか? 末期型の走りの記事なんて。

 新型登場が迫っているのに……。

■侮れない、ボディ下樹脂パーツの効果

 
 外観は軽ジムニーに対して大型化された前後バンパーとオーバーフェンダー、その前後をつなぐガードパネルの効果で、もとが軽自動車と同じボディと思わせない量感を見せている。

 このへん、以前述べたとおりだ。

 ボディサイド下1/3を隠すガードパネルは、いま壊滅状態のサイドプロテクター以上に、隣のクルマのドア接触からボディを守ってくれるだろう。

 駐車事情がよろしくない環境にいるオーナーには心強い味方だ。

軽ジムニーの全長3480mmに対し、突き出しバンパーの備えつけでシエラは3600mmとなる。幅は軽の1480mmがオーバーフェンダー分増えてシエラは1600mm。前後トレッドが増えて90mmずつ外がわに出たタイヤを覆い隠すのが本来の目的。タイヤがはみ出るのは日本の法規が許さないためだ。法規遵守が第1の措置だ。
プロテクター代わりになるこのパネルは、カタログでは「サイドスプラッシュガード」と呼ぶ。本当は横のクルマのドア最外側が地上から似た高さにあり、予定どおりこの部分にぶつかってくれてこそ効果的なのだが、私が過去に乗ってきたクルマはみな、プロテクターがなかったので、このパネルはないよりあるほうがずっとありがたい。

 
 だが、真横から眺めるとしょせんは軽ボディだ。

 最近、白ナンバープレートを選ぶ軽自動車ユーザーがとみに増えたからなおのこと、高速ETCゲートが何らかの不具合で軽ジムニーと見間違えたら、通行料が軽自動車料金になるのではという期待が湧いてくる(おい)。

外からドア越しに見ると、妙に狭っ苦しそうに見えてしまうのだが、実際は適度だ。私はシートスライドを一番後ろか、そこから1段前にずらした位置がちょうどいい。
 ドア越しにはいっけん、前席の前後スペースが短く見え、やけに窮屈そうに見えるのだが、乗り込めば広くも狭くもない、ちょうどいいスペースが確保されている。

 ただ、大柄な人の中には、シートを最後端にしても窮屈さを抱く人がいるかも知れない。

 基本が3480mm長のボディのうち、エンジンを縦に収めるフードを長めにとったから、前席をタイトではない程度に確保すれば、どうしたって後席と荷室にしわ寄せが行く・・・やはり前席2名乗りが主体のクルマだ。

1970年登場の初代ジムニーLJ10型。すべてはここから始まった。スペアタイヤが助手席真後ろにあるが、小さいボディの中で試行錯誤だったのか、この後の途中改良で設置場所を転々としていく。
 いまの軽自動車規格のジムニー&シエラのボディでさえそう見えるのだ。

 おおざっぱに、このボディとキャビンの比率そのままに全体を縮小して初代ジムニーになるとしたら、いまの軽よりふたまわり以上も小さい360cc規格時代に、1970年の初代ジムニーはよくぞこのパッケージを実現した。

もうすぐ引退する三代目ジムニーと初代ジムニーのサイド比較図。ほぼ縮尺率を合わせ、前輪中心を基準に並べてある。都合により、初代の写真は1974年型を持ってきた。360ccジムニーの長さは、3mをわずかに切る2995mm。わずか3m弱の短い中に、本格4WDメカをつぎ込んだのだ。昔の軽自動車は、いまの目にはミニチュアを見る思いだ。
 いまも昔も、世界的には異質なまでのミニマムサイズに、ジープやランクルにも負けない、本格4WDメカとオフロード走破性が与えられた当時の360cc初代ジムニーに、世界中のメーカーは職人芸を見出したのではないだろうか。

 海外からしたら、「ほんとに乗れるかもしれないジープの精密模型」だ。

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