オーナー目線で勝手にインプレッション 連載第6回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』 新型ジムニー直前特集・JB23W軽ジムニー&JB43Wシエラの相違点探し
- 2018/07/04
- MotorFanアーカイブ編集部 山口 尚志
ジムニーフルモデルチェンジ目前を記念して!
なぜかマニアックに末期型ジムニーの内外装解説!
「直前スペシャル」というほどスペシャルな内容でもないが、これまで(たぶん)あまり語られてこなかった、軽ジムニーとシエラの内外装の違いをここにまとめてみた。
暇つぶしにちょっとお付き合いいただければ幸いです。
TEXT●山口尚志(HISASHI Yamaguchi)
PHOTO●中野幸次(KOUJI Nakano):ジムニーJ23W ランドベンチャー
山口尚志(HISASHI Yamaguchi):ジムニーシエラJB43W
前回:連載第5回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』 Panasonicナビ 取付け気苦労物語・180mmスペースにワイド200mmナビを入れる法 ~だからATになった~
新型ジムニー発表が近づいてきた。
2月から約4か月半の間、スズキラインナップの中で空白を置いていたジムニーが、いよいよ装いも新たにして帰ってくる。
このときこそ、わがシエラも本当の意味で旧型になるわけだ。
「ジムニーワイド」の名でいまのシエラが登場したのが1998年1月。
その9か月後の1998年10月に軽ジムニーが発表。
シエラにとっては20年6か月、軽ジムニーにとっては19年9か月を経た両車のモデルチェンジの1日前に、あらためて軽ジムニーとシエラの相違点を紹介したい。
そんなもんいまになって解説してどうすんだという声があろうことは承知も承知。
過去20年の間、軽ジムニーと乗用ジムニーを同じ土俵に載せて比較した雑誌は、弊社の雑誌も含めて存在しないと思う。
ならばその比較を紹介する今回のこのページで、JB23WとJB43W最後の花道を飾ってあげようではないか。
と、無理やりな決めうちをすることにし、今回は軽ジムニー、シエラの違いを、カタログでは語られないところにまで踏み込みながら語っていこう。
まずは外観から。
■軽ジムニー & ジムニーシエラ・外観比較
★フロント
ここまで何度も書いているとおり、ボディそのものは軽ジムニーもシエラも同じ。
外装樹脂パーツの有無で違いを出している。
すなわち、前後のオーバーハング量を増やした前後バンパーとホイールアーチを縁どるオーバーフェンダー、そしてその間を結ぶスプラッシュガード・・・これらシルバーに塗られたパーツで、軽ジムニーに対して全長を205mm、幅を125mm、それぞれプラスしたシエラとなっている。
正面に移って。
写真の軽ジムニーは特別仕様車・ランドベンチャーなので、グリルやドアミラーが特別あつらえとなっているが、本来の軽ジムニーは写真のシエラと同じグリルとなる。
また、この軽ジムニーは、バンパー下部に加飾がされているが、形状自体は標準の軽ジムニーと同じ。
正面から見たときの両車の違いは、バンパーおよび横にはみ出て見えるオーバーフェンダーなわけだが、これだけでもずいぶんシエラがお兄ちゃんに見えるから侮れない。
タイヤトレッド幅の90mm拡大も効いている。
★リヤ
リヤはこのようになる。
車幅以外の大きな違いは、後述するランプのほかに、タイヤサイズの相違によるスペアタイヤハウジングのサイズ、ナンバープレートの位置がある。
プレートは軽ジムニーが車両左側なのに対し、シエラはバンパー中央部をえぐった座面の中に設置。
スペアタイヤを背負っていること、ナンバープレートが下にあることから、車両の一部を写しながら車両後方を中継するカメラの設置場所が皆無に近い。
全長が短いし、運転席からリヤガラスが近いので、実際のバックで困ることは少ないだろうが、カメラがほしい人は妥協しながらの設置となるかもしれない(車両一部が映らない場所に置く、リヤガラス内側に設けるなど)。
★アプローチ&デパーチャーアングル
バンパーの突出量の違いでアプローチ&デパーチャーアングルが異なるのはお察しのとおり。
これらの角度が大きいほど、平地から急斜面、急斜面から平地への進入時、地面とバンパー、シエラなら地面とナンバープレートとの接触が回避できる。
ジムニーという車両キャラクターからして疑問なのは、シエラのナンバープレートの位置。
プレート下端がフロントバンパー最下部よりも下にはみ出ている。
大きな石をまたぐ際、場合によっては石と最初に接触するのはプレートという場面も有りうる。
これはプレートが横長で下端がはみ出ない海外ジムニー用のバンパーを、そのまま国内用シエラに持ってきているため。
事情はわかるが、納得しかねる部分でもある。
★タイヤ
軽ジムニーは175/80R16、シエラは205/70R15のサイズだ。
シエラのタイヤ幅が広くても、タイヤ高さは軽ジムニーの80%がものをいって、幅と高さで決まるタイヤのトータル径は軽ジムニーのほうが大きい。
シエラの190mmより10mm大きい軽ジムニーの最低地上高200mmの多くは、この差から生まれているようだ。
★フロントガラス部
フロントガラスは見た目は同じでも、シエラだけ機能が追加されていて、デアイサーがついている。
ガラス下端から右ピラー沿いにかけて電熱線がプリントされており、冬期のスイッチONで、ガラスに凍りついたワイパーや雪、氷を溶かしてくれる。
厳寒地域の心強い味方だ。
★灯火類
【フロント】
フロントコンビランプ自体はおそらく同じもの。
2灯式で、単体ユニットに車幅灯(スモール)、ダブルフィラメントのハイ/ロー、ウインカーをまとめた、低コストなタイプを用いている。
バンパー内に置かれたフォグランプは、軽ジムニーが内寄りに、シエラはおおかた車幅いっぱいの外がわに設置されている・・・なんだかこちらのほうがよほど車幅灯だ。
なお、フォグランプは位置だけではなくワット数も異なり、軽ジムニーが35W、シエラが55Wとなる。
【リヤ】
リヤはまるで配列が異なる。
いっけん同じに見えるボディ側のリヤコンビランプは、一番上がダミー、その下が軽ジムニーならウインカー、シエラはリバースランプとなる。
いちばん下のテール&ストップは両車同じ。
軽ジムニーのリバースはバンパーセンター寄りに置かれるが、昔のシビックみたいにケチらず、きちんとふたつあるのにはホッとする。
いっぽう、シエラはバンパー側にもランプユニットがあり、最外側がウインカー。次の赤いダミーをはさんでさらに内側は反射鏡(リフレクター)だ。
初期「ワイド」の上級モデルはこのダミー部もストップランプだった。
★バックドア下端のリフレクター
開けたバックドア下部角っこのところにリフレクターがあるのは軽ジムニーだけ。
リフレクターが自分のシエラにないのは、最初、生産工場の人がつけ忘れたのかと思ったが、よくよく考えたら、3年前の「歴代ジムニー」の使い勝手ページで「夜間路上での開時、後方からの視認性を考えて反射鏡を設置・・・」なんてウソを書いてしまったことに気づく。
それも間違いではないだろうが、そうするとシエラに未設置なことの説明がつかない。
どういうことかというとですね、リフレクターがリヤコンビランプに内蔵される軽ジムニーは、夜間にヒンジ式バックドアを開けると右リヤランプ全体が、つまり右リフレクターもいっしょに隠れてしまう。
バックドアを開けている間だけ、右リフレクターの役目は、バックドア下のリフレクターにバトンタッチするのである。
シエラは初手からバンパー内に設置されるから、リフレクターはバックドアの開閉で隠れることはないわけ。
軽ジムニーのこのリフレクターは、おそらく法規制施行の対応で、途中でついたものと思われる。
最近の軽トラックの後ろも、まゆ毛みたいなリフレクターが2本、目立つところに並んでいるでしょ。
あれはリヤ側の荷台ゲートを下げたとき、 リフレクター内蔵のリヤランプごと隠れてしまうことの対策として別に設けられているのである。
観察してみるとリヤゲートの開閉にかかわらず、必ず後方車両のライト光を反射するようになっている。
あれと同じです。
★エンジン
軽ジムニーのエンジンは、軽だからK6A型(嘘です)、シエラはM13Aをどちらも縦に搭載。
軽ジムニーはインタークーラーを積む都合上、エンジンフードに冷却風取入口を設けているが、そのフードを、ターボもインタークーラーもないシエラに共用したため、シエラにとっては意味のないふくらみとなっている(穴はふさいである。)。
なお、エンジンルーム内のレイアウトもまるで異なり、エンジンのインテークパイプは軽ジムニーは左ヘッドランプ裏に、シエラは逆に右ランプ裏にある。
伴って、でもないが、ウォッシャータンクは軽ジムニーが車両右がわに1.5Lのものが、シエラは2L用が左がわにある。
そういえば、いまや希少な油圧式パワーステアリングの油圧ポンプやフルードタンクがあるのはシエラだけのものだ。
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