「開拓車の新たな挑戦」クロスオーバーSUVというジャンルを開拓したトヨタRAV4! 五代目となる新型は、市場に新たな刺激を与える存在となり得るか? トヨタRAV4をホンダCR-V、スバル・フォレスター、日産エクストレイルと徹底比較!【ライバル比較インプレッション】
- 2019/05/12
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青山 尚暉

自動車市場において、すっかり高値安定の人気カテゴリーとなったクロスオーバーSUVであるが、その先駆けとなったのがRAV4であったのは異論のない事実だろう。従来型モデルとはキャラクターを変え、本格派4WDとなった新型の魅力を、ライバルとの比較で確かめる。
REPORT●青山尚暉(AOYAMA Naoki)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)
ワイルドな外観意匠も含め本格四駆の正統派SUVへ
今、世界的に盛り上がりを見せるクロスオーバーSUVのパイオニアこそ、1994年に初代がデビューしたトヨタRAV4。それまでのラダーフレーム構造のクロカンに対して、乗用車ベースのモノコックボディを採用したところが新しく、以来、国内外でのライバルを追従させた、現在のクロスオーバーSUVブームのきっかけとなった存在だ。
そんなRAV4は代を重ね、主要市場の北米(全SUV販売台数の半数を占める!)を含む、トヨタのグローバル販売台数をリードするほどに成長。が、日本国内に限れば世界で販売された四代目は残念ながら市場導入されなかった。
しかし平成最後の春、トヨタは満を持して五代目RAV4を日本で復活させた。が、初代のような乗用車感重視でクロスオーバー色の強いSUVではない。カムリと同じトヨタ最新のGA-KプラットフォームをトヨタSUVとして初採用するとともに、キャラクターを一変。カタログにある荒野を行くRAV4の姿、ワイルド感を強めたエクステリアデザインが象徴するように、オールシーズンタイヤ装着のアドベンチャーグレードをメインに据え、新開発を含む3種類もの4WDシステムを用意。本格クロカン、4WDの楽しさを目いっぱい楽しむ、オフロード感を強めたRAV4に大変身したのだ。
その決断理由を、長きに渡りRAV4を担当する開発責任者の佐伯禎一チーフエンジニアに伺うと「世界的にRAV4が売れている、勝っている時だからできるチャレンジなのです」とのこと。
五代目となる新型RAV4のワイルドなエクステリアは全長4600(4610)×全幅1855(1865)×全高1685(1690)㎜、ホイールベース2690㎜(カッコ内は「アドベンチャー」グレード)。
パワーユニットはトヨタ最新、世界最高レベルの熱効率を誇るダイナミックフォースエンジンの2.0ℓガソリン+ダイレクトシフトCVT、及び最新の2.5ℓHVを用意。より実燃費に近いWLTCモード燃費は4WDでそれぞれ15.2㎞/ℓ、20.6㎞/ℓとライバルを凌ぐ。

最新設計の使い勝手の良さがライバルに勝り優位に立つ
新型RAV4はパッケージングの考え方も新しい。優先したのは後席でなく、ラゲッジルーム。アウトドアなどに出掛ける際に積み込む大きな荷物の積載性を重視した。結果、ラゲッジ容量はクラス最大だが、後席膝まわり空間はライバルを意識せず。詳細は後述するが、それでも不足ないスペースが用意されている。
新型最大のハイライトは、新4WDシステム、それがもたらす走行性能、走破性にある。特に「アドベンチャー」を含む上級4WDグレードに用意された、後輪左右のトルクを別々に制御するトルクベクタリング&4WD不要の場面で後輪への動力伝達を切断し燃費を向上させるディスコネクト機構を備えた「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、まさに新型RAV4のために開発された世界初の新技術。その作動を常時、メーター中央のマルチインフォメーションディスプレイで確認でき、四輪の緻密な制御を視覚で確認できるあたり、頼もしく、楽しい演出ではないか。また、ガソリン車にはオフロード用にMUD&SANDとROCK&DIRTの〝本格〟モードも用意される。
さて、このライバル試乗では、新型RAV4の「アドベンチャー」グレードを軸に、スバル・フォレスターX-BREAK(AWD/2.5ℓガソリン)、ホンダCR-V EXマスターピース(4WD/1.5ℓターボ/5人乗り)、日産エクストレイル20Xi(4WD/2.0ℓガソリン/5人乗り)を用意。今回はオンロードでの比較を行なった。

まずは各車の4WDとしての機能、パッケージについて。クロスオーバーとはいえ、悪路走破性が売りのSUVゆえ、高い全天候、オールロードの対応性が求められるのは当然だ。その見極めのひとつが最低地上高。RAV4が200㎜、フォレスター220㎜、CR-V200㎜、エクストレイル205㎜と、どれも本格的な数値。その上で、個人的に注目したいのがドア下部形状。そこがサイドシルをカバーしていれば、悪路や雨の中を走ったあとでもサイドシルが汚れにくく、乗降時にズボンやスカートを汚さない。その機能があるのはエクストレイルを除く3車だ。
極端な下り坂で、ブレーキを踏まずにゆっくり安全に降坂できるヒルディセントコントロールを備えているのはCR-Vを除く3車である。
こうしたSUVは、遥か遠くの目的地を目指すことも多い。その際、ドライバーの運転負担を軽減してくれるのがACC。全車、渋滞追従機能を備えるものの、上限速度はRAV4、フォレスターが全車速域。CR-Vは約135㎞/h、エクストレイルは約114㎞/hとなる。高速道路120㎞/h制限速度時代にどれが便利かは、一目瞭然だろう。
また、荒野で何かあっても!?安心な通信機能、オペレーターサービス(RAV4はヘルプネットにも対応)はフォレスターを除く3車に用意されている(専用ナビとセット)。
そして本格クロカン性能では、前席からのボディの見切り性が重要。具体的にはボンネット、ボディサイドの見え方だが、特に極悪路ではボンネットが視界に入ると走りやすい。RAV4、フォレスター、CR-Vはボンネット左右端の盛り上がりが視界に入りやすく(RAV4はワイパーを視界に入れないためのセラミックメッシュ部分がドラポジによっては見えにくくするが)、見切り性は優秀で、デザイン重視のコンパクトSUVより全方向の視界良し。斜め前方の死角のなさではドアミラーをドア付けし、三角窓を持つRAV4、フォレスターが有利と言えるだろう。
RAV4があまり重視していない後席の乗降性、居住性はどうか。ここでまず重要なのは後席のシート地上高、及びシート端からサイドシルまでの距離。シートが高過ぎたり、サイドシルとシートが離れていると乗り降りしづらい。その点、新型RAV4は三代目に対して後席ヒップポイント地上高を約4㎝下げ、シート位置を外側へ約2㎝出し、サイドシルを約3㎝内側へ配置する。
後席地上高はRAV4=約72㎝、フォレスター約73㎝、CR-V約73㎝、エクストレイル約75㎝と、RAV4がわずかながら低く、なおかつ後席シート端とサイドシルが近いため、乗降性はベスト(乗降幅が広いフォレスターとCR-Vも良好)。
後席の居住性は、頭上方向のゆとりに関しては各車、身長172㎝の筆者が座ると17㎝前後の余裕がある。差がつくのは膝まわり空間。筆者のドラポジ背後に座った時のニースペースはRAV4が約21㎝。フォレスター約23㎝、CR-V約25㎝、エクストレイル約23㎝。ここでのポイントはCR-Vのみフロアがフルフラットで(他車は凸あり)足元が広く、特に3人掛けした際、中央席の乗員がゆったり座れる点だ。
ラゲッジスペースはその使い勝手を優先したRAV4が優位となる。ラゲッジフロアの地上高はフォレスターとエクストレイルがSUV平均値の約73㎝。CR-vは約66.5㎝と最も低く、RAV4も約69.5㎝と低めで、重い荷物の積載性で勝る。
後席使用時のラゲッジ容量はRAV4が580ℓ、フォレスター520ℓ、CR-Vは561ℓ、エクストレイル565ℓ。容量に最も余裕があり、ハンズフリーパワーバックドアが用意され、2段デッキボードを備えるRAV4の使いやすさが光る。フォレスターはレール付きの樹脂フロア仕様で、重い荷物の出し入れ性の良さが、エクストレイルは前後シートを含む滑りにくい撥水シート&ラゲッジフロアが特徴だ。
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