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モーターファン1965年6月「モーターファン・ロードテスト」再録[トヨタS800(UP15型)] 福野礼一郎のクルマ論評4 モーターファンロードテスト現代の視点 トヨタS800(UP15型)

  • 2019/10/01
  • Motor Fan illustrated編集部
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動力性能試験結果

試験日時:昭和40年3月20日(午前10:30~11:30)
試験場所:機械試験場東村山テストコース
天  候:晴  風0~1m/sec(南向) 気温15℃
使用燃料:ハイオクタン・ガソリン
積算距離:1830km
車両重量:596kg
積載重量:137kg
試験時重量:733kg

1. まえがき
 トヨタスポーツ800 は、パブリカのシャシー部品をベースとして、高性能、経済性を具えた2シーターのスポーツカーである。
 エンジンは、空冷、2気筒、水平対向で、パブリカのエンジンのボアを5mm増して、ボア×ストローク=83×73mm、排気量は790ccとしている。
 最大出力は45ps/5400rpm、最大トルクは6.8kgm/3800rpmと、比較的低回転で高出力を得ている。
 気化器はカータータイプのものを2個使用している。ミッションは前進4段で、変速比もクロスレシオとなっている。減速比は3.30とパブリカより2割弱小さくなったので、エンジン1000rpmのTopに於ける車速は約30km/hとなっている。
 本テストでは実施しなかったが、運行燃費は、約31km/ℓ(運輸省認定テスト時)であり、極めて経済的な車と云えよう。

2. スピードメーター検定
 検定の結果は下記の通りである。
Vr=1.02Vm ー0.18
Vr:実車速(km/h)
Vm:スピードメーター読み(km/h)
3. 加速性能
 2シーターのスポーツカーであるので、計測員を含めて2名乗車の状態で測定をした。0発進200m、400mは各11.9sec、18.8secと800ccエンジン搭載車とは思えない程良い値となっている。3rd及びTopの総減速比が小さいので、3rdでは20km/h、30km/h、Topにては、30km/h、40km/hにて追越加速を行なった。

4. 惰行性能
 高速惰行試験結果を最小自乗法を用いて整理した走行抵抗は下記の通りである。
R=13.8+0.0024V2(kg)
V:車速(km/h)
又JIS D-1015の試験から
Vmean =19.04km/h
R =12.6kg
試験時車両重量(G)を733kg、前面面積(A)を1.33㎡とすると
R=0.019G+0.0018AV2(kg)
すなわち、転がり抵抗係数μa=0.019、空気抵抗係数μe=0.0018kg/㎡ (km/h)2 となり、スタイルから考えられる通り、空気抵抗係数が小さい値を示している。

操縦性安定性関係テスト

 今回は研究室の都合で一部の項目しか測定できなかったのは残念である。結果を第1図及至第6図に示す。第2図を見ると、据切り操舵力は、スポーツカーであるから差支えないのだが、本車が軽くできている割には大きい。保舵力は図示していないが、アンダーステア、オーバーステア試験において、最大で2kgであった(そのときの横向加速度は0.8G)。8字走行における操舵力も軽いし(第3図)、スラローム試験の操舵力は横向加速度0.25Gにおいて2kg以下である(第4図)。本車は据切りを除き保舵力、操舵力が軽いのが特色らしい(意見のわかれる処ではあろうが、もう少し舵を重くして代りに効きをシャープにすることも考えられる)。

(測定 東京工大近藤研究室)

第1図

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