マツダ・R360 クーぺ マツダ初の乗用車は軽のクーぺだった⁈ 「週刊モーターファン・アーカイブ/マツダ100周年特集」
- 2020/07/09
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MotorFan編集部
世の中はスバル360に湧き上がっていた。誰でも車が買えそうな時代。そこに登場したのが、安価な2+2クーぺ。割り切りを「おしゃれ」に変えた、究極のコストダウンだった。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していきます。今週はマツダ100周年特集!1960年に発売されたマツダ初の乗用車「R360クーペ」を紹介します。
何にも似てない新時代のカタチ
東洋工業(現在のマツダ)が、初めて手がけた四輪自動車が、このマツダR360クーペで、1960年に発表・発売された記念すべきクルマだ。当時の軽自動車といえば、トラックやバンといったもっぱら実用優先のモデルが主流で、軽自動車の寸法規格をフルに使って、居住空間というよりも積載能力をセールスポイントとするクルマが多かった。
そんななかでR360が目指したのは「乗用車」であり、しかもオシャレでスタイリッシュなクーペ・デザインで、軽自動車戦線の勝負に挑んだ。
この時代に、軽自動車で敢えて今でいうところの2+2のシートレイアウトを採用。後席は子供用程度のスペースと割りきり、運転を楽しむクーペ=スポーツカー的なコンセプトが導入されていた。
当時の松田社長の号令一下、開発責任者となったのは後にロータリーエンジンの実用化を成功させた山本健一氏だったというのも、R360の誕生に関係があったのかもしれない。
小さいことを誇りにしたスペシャリティカー
現在でもカワイイー!と感じさせるクーペ・スタイリングは、メカニズムも魅力的な先進機構を積極的に採用していた。エンジンは、強制空冷の4サイクルV型2気OHV356ccで軽三輪のK360をベースとしていたが、後にマツダのセールスポイントともなった「白いエンジン」の元祖でもあり、アルミ合金を多用して軽量化を図った。
最高出力は16psではあったが、90km/hの最高速度を誇り、ナイトハルト式のトレーリングアーム・トーションバーにオイルダンパーを装備した、4輪独立懸架を採用した。エンジンレイアウト&駆動は、V型2気節をリヤに縦置きにしたRR方式だ。VW(フォルクスワーゲン)ビートルやスバル360の影響を感じなくもないが、当時として効率よく軽最に作ることのできるレイアウトとして注目されており、そんななかでも走りや乗り心地には高い評価が与えられた。
ミッションには、4速MTの他に2速トルコンが量産車としては日本初の採用となった。先進技術の投入と、30万円(トルコンは32万円)というスバルに対抗した戦略価格は功を奏して、発売初年度で2万3417台という売り上げを記録する大人気となった。
ただその後は、62年に登場した完全な4人乗りの乗用車、4気筒エンジンを搭載した同社のキャロルが軽乗用車の主力となり、R360クーペの生産は66年で終了となった。
R360 Coupe BB型(1960)スペック
全長x全幅x全高:2980×1290×1290mm
ホイールペース:1760mm
車両重量:375kg
乗車定員:2+2人
エンジン:空冷90 V型2気筒
総排気量:356cc
圧縮比:6.7
最高出力:16ps/6000rpm
トランスミッション:4MT
駆動方式:RWD
サスペンション:(前:スイングアーム式 )(後:スイングアーム式 )
タイヤサイズ:4.80-10-2PLT
最高速度:90km/h
価格:30万円(当時)
モーターファン別冊 その他のシリーズ 360cc軽自動車のすべて
軽自動車はいまでは手軽で快適なファミリーカーの代名詞ともいえるかもしれませんが、その昔は、かなりバリエーションの豊かな時代もありました。それが360cc時代です。軽自動車は時代とともに、そのレギュレーションを変えてきました。なかでも排気量の上限は現在では660ccですが、それ以前は550cc、さらに以前に戻ると360ccという時代が1955年から1975年までの20年間続いていました。軽自動車という世界にあって、この360cc時代は単に排気量の問題ではなく、庶民にとって夢の象徴である時代で、なんでもできる魔法の箱でもありました。それだけに、個性的で魅力的なクルマが目白押しとなったのです。そんなすてきな360cc軽自動車をどんどんと紹介していきます。
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