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トヨタ・プリウス(1997)未来から来たクルマ【週刊モーターファン ・アーカイブ】

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「21世紀に間に合いました」1997年に未来感あるコピーで登場したプリウス。新たな技術=ハイブリッドを量産化するという偉業を成し遂げ、プリウスは時代の進む速度を明らかに速くしたといえるだろう。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●佐藤幹郎(90年代国産車のすべて より 2011年刊)

 地球温暖化防止会議が行われ、環境意識が高まりつつあった1997年、世界初の量産ハイブリッドカーとしてプリウスは誕生した。それまでも化石燃料の枯渇、経済性などから燃費の良いクルマは求められてきたわけだが、新たに地球温暖化という観点から燃費が注目を集めるようになった。そんな時代を先取りするように発表されたプリウスは、ガソリンと電気をクルマが勝手に使い分けてくれるハイブリッドシステムが注目で、現在のハイブリッドの歴史を切り開いたモデルだ。

 プリウスの開発リーダーの内山田竹志は開発の経緯をこう語る。「たしか1993年の春ごろのことだと思いますが、かなり長期的なヴィジョンの策定の動きがありました。それは21世紀の自動車はどうするべきか? そしてトヨタとしては何を柱にして新しい時代に対応するべきか? といったテーマで、むろん具体的な話ではありませんでしたが、その準備にかかれ、ということがきっかけです」 ちなみにこのプロジェクトの発案者は豊田英二名誉会長ではないか、ということだ。

全長はカローラで全高を高くすること、をコンセプトにデザイン。バッテリーサイズが大きくトランクスペースが圧迫され、パッケージ的には非常に苦労したという。

 そしてこのプロジェクトは21世紀ということから「G21プロジェクト」と命名され、様々な検討に入る。

 そして全く新しいクルマを作るわけだからクルマの開発のやり方も従来の方式にとらわれない新しいものにしようということになり、エンジン設計、サスペンションなどのシャシー設計、ボディ設計、工場と直結する生産管理や部品設計など合計10名のスタッフが毎日のように検討に入った。

 当然開発は極秘に進められており、他のクルマの開発担当者にも知らせていなかったという。そして94年の終わりも近くなったころ、ハイブリッドという声が出てくるようになった。

1995年の東京モーターショーに出品されたプロトタイプ "EMS"。直噴のD-4エンジンとCVTにキャパシターを組み合わせた、世界初のパワートレインを実現していた。同クラスの約2倍の燃費が目標に。

「燃費がこれまでの30%向上ぐらいだったら、すぐに他社が追いかけてくる。いやそれぐらいの性能なら、既に実験的に達成しているところもあるだろう。すくなくとも50%アップでなければ、『G21』の意味がない。50%アップすれば他社に数年はアドバンテージを確保できる。そのためには現行のガソリンエンジンをいくら改良しても難しい。とすればどうしても新しいパワーユニットで行くしかない。こうした議論を重ね、当時、研究部門でハイブリッドシステムがかなり進んでいるという情報がありましたのでそれを搭載すれば、という意見が出て来たわけです」そしてこうした考えのコンセプトカーを作るべきという声があがり、モーターショーに「TOYOTA EMS(トヨタ・エネルギー・マネージメント・システム)」が展示された。

 コンセプトは「これからのセダン」という比較的地味なテーマだったがショーとしての評判は良く、商品化に向けた開発がスタートとなった。

 しかし開発陣には衝撃が走ったという。その理由は役員から商品企画の対象とする以上は、燃費は50%ではなく100%アップにしなければならないという指示が出たからだ。これは当時検討中のハイブリッドシステムでも達成できない数値であり、しかも「50%アップだけだったらプロジェクトは解散」とまで言われたという。

 内山田は当時の様子を「これでハイブリッド以外の方法は全く選択の余地がなくなったのですが、当時は電池の性能もそこまでは行っておらず、また制御システムも非常に難しく、周辺技術も大きなネックになったいただけにこれにはビックリしました。ハイブリッドはエンジン技術だけではありません。電気、油圧、機械の技術が複合されるのですから、複数の異質の研究・開発を担当してきた部門にまたがって開発しない限り、本格的な開発にならないのです」

 何から何まで手探りのハイブリッドシステム。その中でも電池に関しては相当苦労したそうだ。ハイブリッドで行くと決まったときから性能を想定して構想を立てていたのだが、期限が迫っていても必要な電気容量は出てこなかったという。
「計画していた性能の約半分の性能しか出ていなかった段階で、自動車本体の計画を見切り発車させたときは不安でした。ボディの寸法も決まり、変更が不可能というところまで来ていました。その時期でも電池をどのようにマネージメントするか? どのくらい冷却してやったら性能劣化を抑え込むことができるのかという問題や充放電の管理がはっきりしていかなったのです。エンジンとの切り替えなどコンピュータで推定して管理する方法を考えたのですが、あらゆる仕様条件を推定して大丈夫でないと商品として成立しません。これがうまくいかない状況が続きました」

THSのインバーターとパワーユニット(左)と、後席背もたれ後方に搭載される、ニッケル水素バッテリー(右)

 しかし電池メーカーの協力もあり、最終的にプリウスは10・15モードで28.0km/ℓという燃費を達成して発売されることになる。

 初代プリウスのシステム、アイドリングストップや高膨張比エンジン、ハイブリッド用トランスミッションなどは、現在も進化を遂げながら採用されトヨタのハイブリッドの基礎となった。現在のハイブリッドの隆盛は、すべて初代プリウスが作り出したと言っても過言ではないだろう。

マルチディスプレイの採用を前提に、センタークラスター部に視認系と操作系を集中配置。タコメーターや水温計のないセンターメーターに、コラムシフトは未来感あると話題になったが、オーディオには未だカセットテープ式だった。

【寸法】
全長×全幅×全高(mm):4275×1695×1490
ホイールベース(mm):2550
トレッド前/後(mm) :1475/1480
車両重量(kg):1240
10/15モード燃費:28.0km/ℓ
【エンジン/電動モーター】
型式:1NZ-FXE/ICM
種類:水冷直列4気筒DOHC/永久磁石式同期型
総排気量(cc):1496
圧縮比:13.5
最高出力(ps/rpm):58/4000/(30.0kW)/940-2000
最大トルク(kgm/rpm):10.4/4000/31.0/0-940
燃料供給装置:EFI(電子制御燃料噴射)
燃料タンク容量(ℓ):50
【足まわり】
駆動レイアウト:FWD
サスペンション 前:独立懸架ストラット式
サスペンション 後:トーションビーム式
ブレー キ 前:ベンチレーテッドディスク
ブレー キ 後:リーディングトレーリング
タイヤサイズ:165/65SR15

モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて

■10~20年前のクルマに感動しよう!
 80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。

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