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素のスポーツモデルに再注目! 10年前のホンダ・シビックタイプRユーロとルノーメガーヌR.S. いまこそ乗りたい200万円で狙えるFFホットハッチ!【モーターファンおすすめ中古車】

  • 2021/06/11
  • MotorFan編集部 伏木幹太郎
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リヤハッチを開ければわかる? 似てるようで違う、らしさ全開のパッケージング

パッと見た感じは、大きさも形も似ている2台だがパッケージングは大きく異なる。まずシビック タイプRユーロはベースが初代フィットで、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用している。そのため室内は驚くほど広い。特に2列目は、筆者が乗車したこれまでの3ドア車のなかでも一番広く感じた。タンクが前席の座面下部にあるため後席の足元空間がすっきりしていて、あわせて頭上空間も広く、1時間以上大人が座っても苦ではない。しっかりタイプRにもホンダのM・M(マン・​マキシマム/メカ・ミニマム)思想が行き届いてるのが感じられた。

全長×全幅×全高:4270×1785×1445mm ホイールベース:2635mm
全長×全幅×全高:4320×1850×1435mm ホイールベース:2640mm

メガーヌR.S.も実用車ベースがのため、外観の印象とは裏腹に室内は広々している。後席の空間も狭くはなく、大人二人が乗っても問題もない。ただシビックと比べてしまうと、室内高が低く後席の窓が小さいため閉塞感を感じた。室内の広さで勝負するならシビックの完全勝利となる。

また荷室は若干シビックの方が広かったが、とくに広さ自体に大きな差はなかった。しかし、リヤハッチの開口部を見ればその違いに驚く。写真にあるようにメガーヌのリヤハッチは女性の腰くらいの高さから開き、開口部の左右の幅も狭い。また荷室に段差が生じるため、荷物の出し入れを行いにくい。それに対し、シビックはミニバンのように目一杯に開く。開口部と荷室の段差も少なく、非常に使いやすい。ベース車両の違いもあるとは思うが、シビックはあくまで実用性は損なわない、メガーヌは実用性よりもボディ剛性重視という考え方の違いを見て取れる。らしさ全開のパッケージングだ。

左がメガーヌR.S.、右がシビック タイプR ユーロ。

高回転のNAか、大トルクのターボか

8000rpmまで駆け上がる歓びは忘れられない

それでは走りの方はどうちがうか。

シビック タイプRユーロのエンジンは2.0ℓNAエンジンを搭載。セダン(FD2)と同じのK20Aエンジンだが、セダンの最高出力が225psに対してこちらは201ps。さらにセダンより60kg車体が重いため、セダンと比べてしまうと「過激さ」は薄れてしまう。ただあちらは「サーキット・ベスト」。シビック タイプRユーロはしっかり街乗りからワインディング、サーキットまで楽しめるオールラウンダーだ。

気持ちよく高回転まで回るエンジン
ここはさすが欧州向けといったところで、欧州の田舎の荒れた道路でも快適に走れるように開発されているため、セダンと比べると断然走りがマイルドだ。またシートの出来も良い。適度に体がホールドされ、クルマとの一体感を感じられる。表皮がアルカンターラなのも肌触りがなめらかで気持ちいい。ただし、前席の床下にガソリンタンクが埋め込まれているセンタータンクレイアウトを採用しているため、スポーツモデルとしては、アイポイントが高めだ。

またホンダ自慢のi-VTECエンジンは踏んだら踏んだだけ気持ちよく回る。また、NAエンジンのため、ターボ特有のラグが発生することなく、気持ちよく8000rpmのレッドゾーンまで突き抜ける歓びは一度味わったら、虜になること請け合いだ。タイプRとしてはいまのところ最後のNAエンジンとなってしまったが、電動化が進むといまこそ味わっていただきたい名機だ。

サーキットからワインディングまでこなせるシビック タイプRユーロ

速さを追求したメガーヌR.S.

3代目メガーヌR.S.は、2.0ℓの16バルブツインスクロールターボエンジンが搭載されている。このエンジンはアクセルを踏み込むと野太いエンジン音でトルクフルに加速する。シビックと違い約6500rpmまでしか回らないのだが、これはこれで気持ちいい。最高出力は初期型で250ps、最大トルクは340Nmで、自然吸気エンジンのシビックより最大トルクで約150Nmもトルキーだ。

ターボエンジンは非常にトルクフル
またシャシーの剛性感も非常に高い。ルノー・スポールモデルには、日常の使い勝手とスポーツ性をバランスさせた「シャシースポール」と、スポーツドライビングに最適化された「シャシーカップ」の2種類のシャシーがラインアップされるが、日本仕様の3代目メガーヌR.S.は後者を採用している。ワインディング走行が特に気持ちよく、ドライバーの思うようにしっかり車体がついてくる感覚は、「シャシーカップ」を採用した恩恵だろう。

また、さすがはニュルでの元記録保持者。スポーツドライビングを支えるブレーキも、高性能なものが装備されている。フロントには冷却性に優れたブレンボ製ベンチレーティッドスリットディスクが、リヤにはブレンボ製スリットディスクが採用されており、これがよく効くのだ。

さらにレカロ製バケットフロントシートは、本格的なスポーツドライビングにも対応する高いサポート性とホールド性を持つ一方、安全で快適な乗り心地も実現している。さすがに乗り降りはしづらいが、一度座ってしまうとぴったり体が包まれ、座り心地がかなりいい。シャシーから装備まで速さを追求した真のスポーツカーだ。

シャシーの完成度が高い

こうして走りを比較すると、NAエンジンならではの気持ちよさを重視するならシビック、絶対的な速さと完成度の高さを求めるならメガーヌと両者の性格は異なる。ただ、ひとつ言えることはどちらを所有しても価値があるということだ。いまのクルマで当たり前になった運転支援や自動ブレーキなどの快適安全装備などはほとんど付いていないが、その分走りが楽しく、EVやHEVでは味わえないガソリン車ならではの加速の気持ちよさが味わえる。興味のある方はぜひこの2台を検討してみてはいかがだろうか。

ホンダ・シビック タイプR ユーロを狙うなら状態チェックは必要不可欠!

平均中古価格は約174万円。
たとえば「ホンダ・シビック タイプR ユーロ 2010年式、走行3万1000kmで車両本体価格190万円」というような中古車がある。
中古市場を見ると、スポーツモデルのため走行距離が過多なものが多い。100万円前後のものもあるが、長く乗ることを考えるなら200万円前後の走行距離の少ないものを検討すると良いだろう。また、購入の際はしっかり状態をチェックしよう。

ホンダ・シビック タイプR ユーロ(2009年モデル)

ホンダ・シビック タイプR ユーロ
全長×全幅×全高:4270×1785×1445mm
ホイールベース:2635mm
車両重量:1320kg
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1998cc
ボア×ストローク:86.0×86.0mm
最高出力:201ps(148kW)/7800rpm
最大トルク:19.7kgm(193Nm)/5600rpm
トランスミッション:6速MT
フロントサスペンション形式:マクファーソン式
リヤサスペンション形式:車軸式
乗車定員:4名
タイヤサイズ:225/40R18
ハンドル位置:右
新車価格:298万円
※2009年発売当時のスペック

ルノー・メガーヌR.S.(2011年モデル)

3代目メガーヌR.S.の平均中古価格は約180万円。
200万円以内となると2011年から2014年まで販売されていた前期型と中期型が狙える。
たとえば「メガーヌ ルノー・スポール 2012年式 (中期型)、走行4万6000kmで車両本体価格179万円」というような中古車がある。
中古市場を見ると、ホンダ・シビック タイプR ユーロと比べるとタマ数が絶対的に少ない。またグレードや限定車も多く、前期・中期・後期モデルによってエンジンパワーなどの仕様も異なる。検討する際には気をつけよう。

ルノー・メガーヌR.S.(2011年モデル)

ルノー・メガーヌR.S.
全長×全幅×全高:4320×1850×1435mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1430kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC16バルブターボ
総排気量:1998cc
ボア×ストローク:82.7×93.0mm
最高出力:250ps(184kW)/5500rpm
最大トルク:34.7kgm(340Nm)/3000rpm
トランスミッション:6速MT
フロントサスペンション形式:マクファーソン(ピボット独立式)/コイル
リヤサスペンション形式:トレーリングアーム/コイル
乗車定員:5名
タイヤサイズ:235/40ZR18
ハンドル位置:左
新車価格:385万円
※2011年発売当時のスペック

今回、10年前のFFホットハッチ、シビック タイプR ユーロと3代目メガーヌR.S.を紹介したが、現行型以上に両者の違いが感じられた。一見、3ドアハッチバックというシルエットは似ているものの、使い勝手やエンジン、デザインのテイストなどそれぞれの性格やメーカーの考え方が反映されており、非常に興味深かった。

電動化が進むいまこそ、一度味わっていただきたいおすすめの2台だ。

福井県の熊川宿にて

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